これはすごい…!どの話もそれぞれ独特の世界観があって、めくるめく少女たちの愛憎にぐいぐい惹きこまれる。限りなく純粋ゆえにどこまでも残酷。見とれるほど美しくても、一皮むけば目を背けたくなるくらいに醜悪でおぞましい。だからこそこんなにも魅力的な物語として完成されているのだろうか?美人と不美人、まさに「オペラ座の怪人」のような二人は幕が下りたと同時に夢から覚めた。カーテンコールで再び舞台に上がった二人が、これまでのように見つめ合うことは決してないだろう。ひりつくような痛みが残るラストが印象的だった。第二話はがらりと雰囲気が変わってびっくり。一見何の問題もなさそうな仲良し二人…と思いきや、ページをめくるごとに何やら不穏なムードが高まっていく。うーんこれは…と思っていたら案の定。メンヘラのヤンデレほど怖いものはない。読み終えてタイトルを見たら心底ぞわっとした。個人的にこれが一番好みだったかな。最終話、これもラストで逆転系のストーリー。古風でしとやか、そしてどこまでも耽美と見せかけて…やはり不穏。この作者さんこの手のどんでん返しがお好きなのかな。愛と憎はまさに表裏一体なのですね。上辺の恋を語ったところで簡単にひっくり返るし、一度ひっくり返ったら二度と元には戻れない。濃密な映画を見たような満足感、読んでよかったです。