序盤からショッキングなシーンを持って来ていて、初っ端から一気に引き込まれてしまいました。そのままジワジワと破滅の予感を感じさせられつつ、どうか報われて欲しい気持ちと、心のどこか最悪の結末を予想してしまう気持ちとがないまぜになりながら…気がつけば一気に読み終えてしまいました。続きが気になって読み進めてしまうサスペンス要素も楽しみつつ、果てのない悪夢に迷い込んでしまう恐ろしい感覚、想いの届かなかった切なさ…この1話だけで色んな方向に心が揺さぶられました。登場人物たちの設定は非常にシンプルで、だからこそ自然にカナエさんの心情にシンクロ出来るし、ストーリーに深く入り込めました。特にタイトルにある「夢」によって転換する場面が印象的で、カメラワークも非常に上手く、凄惨な空気を想像し思わず緊張してしまいました。結末の描き方や風鈴の音色の使い方など、情緒的で演出の才が光る漫画家さんだなと思います。絵も可愛らしく好みで、酉村さんの他作品も是非見たいなぁと思いました。