良家で親に慈しまれた娘が、当然のように、似た生育環境の男性に守られ結婚する未来を想い描くレール上にいる。
そんな物語が違和感なかった時代がありました。
無理強いではなく、自然に好きになれる好青年が相手である場合、ほとんどヒロインのハッピーが約束される展開なのですが、池田理代子先生は抗えない運命の変転を描きます。
まさかの事態が降りかかった時、まさかを受け容れる、受け容れない。
そのどちらを選ぼうとも、涙を流す誰かがいるというのは実に残酷です。
一話完結なのが物足りなくないのは、池田先生がラストに救いを描写してくださっているから。
幸せというものは、長い目で見ないとわかりません。
そんなことも教えてくれる作品だと思います。