『清姫ものがたり』は、一途すぎる恋心が、次第に激しい情念となって化け物と化してしまうところは、恐怖と同時に深い哀れみや悲しさも感じました。生きて結ばれたわけでは無いけど、あの結末にはひとすじの光りがあり救われた気がしました。
『夏みかん』は、序盤のユニークな感じから一変して、主人公が生前の祖父とのやりとりを後悔する場面は、何とも切なくて心がギュッとなりました。
最後の『愛~エロス~』は、アルキビヤデスの繰り返しの猛アピールにも全く動じていないソクラテスのことが、なぜか次第にカッコ良く見えてくるという妙な面白さもあって楽しめました。