この漫画の主人公は魂石回収業者の桜井と天野。
公務員風のビジネススーツに身を包み常に名刺を持ち歩く桜井とは対照的に天然で掴み所ない天野、順風満帆とはお世辞にも言えぬ凸凹コンビが、故人の記憶が残留する場所を訪れ、記憶の結晶―「魂石」を回収していく。
魂石回収という特殊な職業に就きながらも、桜井は非常に生真面目な善人。
しかし彼もまた歪みを抱え、人生に悩み挫け迷う人々との出会いによってその歪みと否が応にも向き合わざる得なくなる。
基本一話完結の連作シリーズ。結末は苦く救いのないものが多い。単純な二元論で割り切れる善人や悪人は登場せず、パッと見善人がグロテスクな本性を隠していたりもする。
もう一つの見所は桜井と天野の微妙な距離感。
魂を持たぬ天野の奇矯な言動に振り回される桜井。
生真面目な兄とやんちゃな弟めいた二人の関係がコミカルで、シリアスなストーリーにほどよい息抜き箇所を与えてくれる。特に一巻後半でキレる桜井が痛快!意味深に匂わされる前の相棒の存在も気になる。
人の運命をゲームの選択肢になぞらえ管理する着想も面白い。