有名な作品だが内容を全く知らなかった。タイトルと絵の印象からヒステリックでグロテスクな神経質なサイコホラーを連想していた。しかし全く違っていた!!!凄惨なシーンはあるが、非常に冷徹、知的、かつ人間性に溢れる、とても面白いSF作品。思考実験としてのSFの本質が貫かれた作品。他にもレビューで書かれている方が居たが、ウイルスという寄生物(これも非生命だけど、ものでもなく不思議な存在)と向き合わざるを得ない現在の状況で、人間って何か、生物って何か、生命の存在目的、恐怖心と差別の問題等、共通したテーマによりリアルさがあり、それを読みながら作者と一緒に考えることになり、面白い。もっと新しい時代の作品かと思っていたけれど、ここで提起されているテーマは、現在でこそ、強く突きつけられている。