いわゆるトキワ荘メンバーの話なんかは有名ですが、女性漫画家の道を切り拓いた方々のお話はあまり知られていないのでは?とても貴重な作品だと思います。その街の成り立ちなど歴史を考えると複雑な気持ちにはなるものの、哈爾濱という街の今ではあり得ない風景(ロシア人、ユダヤ人、中国人、日本人の子供たちが混じって遊んでいて、主人公としこもしょっちゅうロシア人の大人に可愛がられロシアのお菓子をご馳走になっていた!)に目を惹かれたり、父親のお妾さんの存在に幼いながらも傷つき家庭を持つことに躊躇する姿が印象的だったり、としこよりも2歳年下で貧乏暮らしから成り上がろうとする長谷川町子(!)というライバルの存在に打ちのめされるくだりが重たかったり…。素晴らしい作品です。楽しく生きる人々にも容赦なく戦火が迫ってくる様子もひしひしと描かれていて胸が詰まる。