甘いマスクと物怖じしない度胸、この2つを武器に片岡直次郎は仕事を成功させてきた。その仕事はドロボウ。誇りと自信をもって夜の街を徘徊する闇のエージェント。今度のターゲットは大富豪・豪加家が所蔵している時価3億円の名画だ。主人の留守を狙って白昼堂々と邸宅を訪れ、食客になりすました直次郎だが、美人ぞろいの3姉妹と暮らしていくうちに、どうにも調子が狂いはじめる。仕事だけをするつもりだったのに、感情がからみはじめて身動きとれない事態に…(「もてもてドロボー紳士の巻」より)。怪盗紳士・直次郎はご機嫌ななめ。狙った獲物が次々に横取りされてしまうのだ。にっくき商売敵の名前は「夜のバラ」。ある日、深夜のサバイバルに疲れた直次郎が空き巣をしていると、初恋の相手・南小路綾子とばったり再会。ふたたび燃え上がった片思いの火は、しかし綾子が「夜のバラ」かもしれないという疑念の煙におおわれてゆくのだった……(「盗まれたお嬢さんの巻」より)。名作『サインはV!』を生み出したゴールデンコンビ、神保史郎と望月あきらによる巧緻なシナリオは、予測不可能のクライマックスへ!