小中学生の頃に読んだことを思い出し、また最近Twitter(X)にて作者をフォローしたこともあって、電子版にて牡丹ちゃんに再会することができました。紙の本は、残念ながら、震災で失いました。
まず、私は主人公とおそらく同世代で(89年に11歳という記述より)しかも大阪に住んでいた経験もありますから、当時の空気感を含めて楽しませていただきました。
逆に、地域の異なる方や今の若い方だと、言い回しなどで伝わりにくい表現もあるかもしれません。
漫画だからご都合主義、父親の仕事の話がなんだか大袈裟すぎる、と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、こんなストーリーもアリかな?と思わせるだけの勢いがあります。
それから、「生きることに不器用で仕事のできる大人の男」と「年齢の割に色っぽい大人のような少女」の組み合わせ。これも絶妙な設定で、90年代の映画『レオン』などにも見られます。現在では『レオン』の内容さえも批判的に見られるほど時代が変わってしまいました。
恋愛ものが主流の当時の少女漫画において、恋愛ではない愛を描いた本作は珍しく、まさに時代を映した漫画作品だったのではと思います。
あの頃の気持ちを、私たちはずいぶんと忘れてしまったのではないか。そんな読後感がありました。