中村明日美子推薦!の一言でページをめくってみた。…ヒリヒリしてとても良い。登場する女性たちは、中学のとき初潮が来て泣いた友達を思い出させる。言葉を重ね、愛する恐怖、価値の有無の呪縛を解きカサブタを作っていく彼女たちの姿は、愛想無く劇的でもないけれど奇妙な心地良さがあり、適当な回からでも何度も読み返してしまう。太宰治的状況の若かりし祖母のラストなんかは、彼女の放った言葉と表情がとても格好良く可愛くも見え「よし!愛してやれ!」と心で叫んだ好きな場面のひとつ。直線的な線で粗く、でも丁寧に描かれている刺々しい優しさ。欲しいものは自分の中にあるのだ。