試読可能な1巻のみ読了。身体や性格、適性、取り巻く環境など、人はさまざまな理由でその職を失ってしまう。それなのに労働力不足を叫ぶ人たちは、一度職を失った人たちをワケアリと見做し見向きもしない。だからこそ本来であれば、働きたい人と、働き手が欲しい人をマッチングさせる重要な施設であるはずの職業訓練校なのだけど…その印象は重く、どこか殺伐としている。この作品は、そうした点の描き方がとても見事。労働力不足のはずのこの国で、仕事を見つけることの難しさ。個人的にも社会的にも難しいテーマを扱うだけに、シンプルに読んで楽しいという訳にはいかないが、仕事の「万が一」を案じる人なら必読。そうではない人も、リアリティ有る日本の労働状況の指標として、一度は目を通して良い作品ではないかと思う。