賛否両論分かれてますが私はアリです。むしろファンなら読め。
後半(具体的に言うと最終二巻)の駆け足展開に「けっ、こんなご都合主義で取って付けたようなロマンスあるかよ!」と乗り切れなかった読者ほど、ばっさり仕切り直しの導入は痛快。
キーとの関係が白紙に戻ったのも、そりゃそんな上手くいくわけねーよな!で大納得。
倫子自身「あなたを幸せにするのが私じゃなくてもいい」「あなたが幸せになるところを見たい」と言ってたので矛盾してない。
キーと倫子の目標は「イイ女(男)になること」で、二人で幸せになるのがゴールじゃないのなら、あの関係に落ち着いたのは凄くわかる。
ここまできたらキーと倫子には四十代五十代六十代になっても少年漫画の良きライバル的に、互いに発破をかけあって高め合ってくリスペクトある関係性を期待したい。
香の衝撃の決断にはちょっとびっくりしたが、まあわからなくもない。
惜しむらくは小雪の出番が少ないこと。活躍も少なく殆ど脇役同然なので、彼女のファンは残念かもしれない。
ぶっちゃけて言ってしまえば、コレは「東京タラレバ娘」あらため「東京タラレバ男」で、本編では存在感なくフェードアウトしてしまった涼と丸井の汚名返上エピソードである。
本編ではただただ自分勝手でサイテーな印象しかなかったが、香の幸せを祝福しようとドタバタやらかす姿を見てしまうとどうしても憎めなくて、この匙加減が実に上手い。好きになれないけど嫌いになりきれないといおうか…
なので丸井や涼のことを好きな読者におすすめしたい。
リターンズといより本編の後日談的な印象が強いが、一人でもタラレバ娘を卒業してタラレバ主婦デビューしたのなら、前に進んだといえるのではないか。