短編に顕著だけど、この作者は話作りが抜群に上手い。
設定の斬新さは勿論だけど、日常の常識や常套を少しだけズラす手法が
奇抜な状況にリアリティを与え、物語の進行そのものにも先読み出来ない期待感を持たせてくれる。ハリウッド映画界に「タランティーノ以降、タランティーノ以前」という言葉が公然と語られるように、この作品は日本の定型化していた漫画内常識をパラダイムシフトさせた分岐点といえる作品なのではないでしょうか?「性的マイノリティは必ず孤立するかギャグキャラになる、キャラの人格には整合性を、前フリとオチで話を纏めるetc」こんなそれまで使われ続けてきた漫画作りのテンプレートを軽々と作り替えた功績。同時期に連載されていた「寄生獣」と共に商業漫画のステージを高めスケールを広げた大傑作と断言させて頂きます。