なんでもっと早く読まなかったのか後悔しました。
超絶面白い!すごい!感情がぐわんぐわん揺さぶられる!
ちんまりまるっこい三頭身ロリショタケモショタが愛くるしい絵柄を裏切るハードな展開とド欝エピソードの連続、アビスに生息する動植物の独創的な造型など、仲間との友情や冒険を主軸に据えたジュブナイルSFの魅力と、その裏で蠢く世界の謎と陰謀を編み込んだダークファンタジーの容赦のなさを、これでもかと闇鍋の如くかきまぜて凝縮した作品。
上昇負荷にまつわるアビスの呪いなど、科学的な考証に基づく世界観が非常によく練られている。
登場人物も皆個性的かつ魅力的。
アビスの生態系がもたらす過酷な環境や師の試練、次々襲う逆境にもめげず、己の内に育んだ信念やもういない仲間との約束を礎に、汗と血と洟水と涙とそれ以外の体液をドバドバ垂れ流しながら這い上がっていくタフさ、したたかさ、逞しさにじーんとする。
ミーティアとプルシュカのエピソードには心フルボッコにされるが、失ったものがあれば得たものもある。
グロテスクなシーンや思わず「痛い!」と顔をしかめてしまうシーンも多々あるが、主人公の成長と仲間との絆、強敵との死闘、未知へ挑み死地を開拓する冒険活劇のロマンに血沸き肉躍る。
カバー裏の特殊性癖博覧会と素材はゲテモノでも涎がわくほどおいしそうなアビスめしも必見。