表題作『シェパーズパース』:描かれているキャラクターは美しい。だが描かれていない,あるいは間接的にしか描かれていない人々が心理的にグロテスクすぎる。なおタイトルは shepherd's purse,直訳すると「羊飼いの財布」だが,英語でナズナを表す言葉らしい。▼
『雷と砂の雨』:この作品集では比較的まともな方かなと思ってたが,最後がよくわからなかった。改めて読むと一つの解釈に辿り着くが,ちょっとわかりにくい上にひどいのでは……。▼
『ブライトモーニングスター』:歪んだ愛情を上回るさらに歪んだ愛情。▼
『小花散らし』:異常なまでに歪んだ愛情の表現。▼
こうして感想書いてみると,やはり作者の大北真潤さんはヤバい人なのではと思えてくる。一番ヤバさを感じるのは,グロテスクさ/歪み/救いの無さを含む話を,美しいものとして描こうとしている点。対比として使うならわからなくもないのだが,そこに対する偏りが怖い。