若干のクセは有りつつも、人目を引けて印象にも残る表紙。パラレルワールド設定へのSF的な説得力。[スキマ]の漫画の登場人物の中でも、恐らくトップクラスの悪人を主人公に持ってくる…などなど、幾つかの部分には作者さんの才能がハッキリと現れている。そうした部分は読んでいて嬉しかったし、素直に評価したいとも感じていたが…ただ総合的に見た場合、本作の完成度は必ずしも高いとは言えない。経験不足が響いているのか、"読者へどう伝えるか"の部分が明らかにこなれていない印象がしてしまうのだ。こういう作者さんこそ、欠点を克服し世に知られた作品が描けるよう、経験を積む場が与えられて欲しいと思うのだけれど…世の中、難しいのだろうな。