試読可能な2巻まで読了。物語構成がすばらしい。どこかの学園のような場所で繰り返される毎日と、社会が崩壊した後を生きるサバイバル。この二つの物語が同時並行的に進む。前者は物語全体の世界観を固め、後者はそれを展開させる役割を果たしているが…、それをどんな技術なのか、二つの状況を分離させることなく上手く嚙み合わさせている。その結果、読み手の中で統合された"状況"は、作中で示された幾つもの謎と一緒になって、まるで火花を見るような強い印象を残すのだからたまらない。全体がこのような作りによって成り立っているため、学園編、サバイバル編は、むしろそのオーソドックスさが長所になるのも面白いところ。こうまで計算して物語の土台を作り、しかも集中を切らさない表現を続けるなんて、やはり漫画家さんは本当に凄いのだなと改めて思わされる。登場人物のキャラクター性や配置についても隠された意味が有りそうで、これはなかなか、本格的に読み始めたらハマりそうな作品のような印象がしている。