主人公コティのモデルは、独自の情報網と卓越した大局観で激動の時代を生き抜いた警察大臣フーシェ。史実の彼と同様、よく言えば柔軟に悪く言えば無節操に、常に勝ち馬に乗れるよう立ち回った男の一代記である。
物語前半は田舎の僧院の変人教師の周りで起こる様々なトラブルを面白おかしく描いたギャグ漫画だったのが、中盤でフランス革命が起こってからは本格的な歴史劇に変貌を遂げていく。理想を追求しすぎたがために冷酷な独裁者になってしまったロベスピエールと、才能とカリスマに溢れていたがゆえに独善的な暴君になってしまったナポレオン。後半の物語は、コティの目を通した二人の男の悲喜劇と言ってもいいかもしれない。
フランス革命やナポレオンに興味がある人は是非読んでみてほしい。