スキマ

『だいず◎でいず』のレビュー

やっと読み終わった……。これにレビューがついてない理由が分かった気がする。3巻あたりからはもう意地だけで読み進めていた。▼ 文字が小さくて読みづらいのは4コマだからしかたないかもしれない。描き分けがまずくて登場人物を識別しづらいというのは私個人の能力の問題かもしれない。▼ そういう表面的な問題を超えた一番の辛さは,登場人物に血が通ってないこと。作者が思い描いたイベントをこなすためだけに,作者の思い通りに動かされる将棋のコマみたい。「人間の感情ってそんな動きをしないよね」って感じることが多々あった。ゲームのNPCでももうちょっと人間的な振る舞いをしそう。▼ これに関係することでもあるが,話にリアリティがない。高校生が同級生に監禁されて学校に来なくなったら普通は警察沙汰になる。海で受けた傷が一年以上も治らなければ破傷風かそれに近い状態に悪化する。生徒会が何をやっているか不明瞭な割に仕事量だけが多い。もちろんフィクションなので完全なリアリティは必要ないが,その場合は設定で説得力を持たせるものだと思う。▼ 何かの演劇の漫画(『ガラスの仮面』だったかな? 違う気もする)で,登場人物の陰の暮らし,つまり描かれていない部分まで想定して役を作らないと人物像が薄っぺらになる,という趣旨の話があったように記憶している。結局のところ本作のつらみはそこに尽きるような気もする。
2021年9月19日
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