『竹宮惠子作品集 ＭＩＲＡＧＥ』のレビュー
時どき無性に読みたくなる［エメレンティア］。肉欲さえ空しくさせる、原義通りのイデア的エロスが内包されているこの作品。何度読んでも不思議な感動を覚えるが、その理由は多分死ぬまで突き止めることが出来ないように思う。そして［MIRAGE］。あの衝撃的な冒頭の絵は、［一度きりの大泉の話］に有った増山さんの言葉からインスピレーションされたものなのだろう。しかしそこから、あの空虚な空気感で作品を満たし続けた力量の凄み。その中で輝くミカエルの魅力も未だ少しも揺らぐことが無い。どちらも古いかもしれないが、しかし、唯一無二の作品なのだと気持ち新たに感じるばかりだった。…一方他の作品は、竹宮先生が普通の漫画を描くとやはりしっくりこない、との印象も残った。(★は本1冊としての評価)
2022年5月22日
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