『伯爵カイン』のレビュー
当時は妹が読んでいて気は乗らないが読んでみた。
この手の雰囲気の話が好きで読んでいたのが懐かしい。
2023年2月2日
違反報告
2
19世紀末倫敦。
毒の蒐集が趣味の美貌の少年伯爵カインと執事リフが猟奇的な殺人事件を解決していくミステリーシリーズ。元々は読みきりだったんですが読者の根強い支持を得て連載に。白と黒のコントラストで魅せる美麗な絵柄や細かく描きこまれた当時の風俗やファッションなど、耽美でゴシックな画風が堪能できます。
マザーグースを題材にした話が多く、しばしばフレーズが引用されるのもファンには嬉しい。見立て殺人はぞくぞくしますね!キャラクターも魅力的。
父親との確執を抱え呪われし宿命に苦しむカイン、主人に忠誠を誓うリフ、互いを信頼し合い深い絆で結ばれた二人。
共依存に近い執着を孕む危うい関係にドキドキします。カインが溺愛する天真爛漫で少しわがままな妹・マリーウェザー、マリーに求婚するオスカーなど味方勢はもちろんのこと、敵役がすごくいい味を出してます。
特にドクタージザベルとカシアンは最高!
カイン&リフとはまた違う主従愛を魅せてくれます。形は違えども孤独な主人をそばで支え力にならんと尽くす。様々な愛の形が楽しめるのも本作の美点ですね。
親子愛や男女愛に兄弟愛、愛憎ドロドロ度が高いお話。
妄執に取り憑かれ狂気に身を堕とした者、復讐の念に囚われて破滅をひた走る者……カインが出会う人々が抱えた過去やドラマにも注目。
欲を言えば終盤が駆け足になってしまったのが残念。白梟とかもっと見せ場があってもよかったのに……しかし全体としての完成度は高いです。
19世紀英国のそこはかとなくダークな雰囲気が好きな方にはお勧め!
2020年5月6日
違反報告
8
レビューフィルタ