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『バーナード嬢曰く。』のレビュー

本を読むのは面倒くさいが読書家ぶりたい高二病を患った町田さわ子(自称バーナード嬢)が図書室で繰り広げる不条理ギャグ。 ……と思わせて百合に限りなく近い友情あり青春ありの、学生時代図書室の常連だった大人が読むと、ノスタルジックに胸かきむしられる書。 嵐の放課後にアルコールランプを囲んで読書会とかなにその素敵シチュ。 気になるあの子と二人きり、ほかにだれもいない図書室の机の下で大判の絵本を広げて……とか、本好きなら絶対憧れるシチュを折々挟んでくるのが憎い。 内容自体も面白い。読書家ぶりたいが読書家ではないというふれこみだったさわ子が、SF通の神林に感化され、どんどん読書量を増やしていくのも面白い。 自分は友人がいないので、ただで本を貸してくれる友人がいるだけで羨ましい…… それだけに人から借りた本にジュースだのクッキーだのを零すさわ子の行動はちょっと理解できない。 古今東西の名著に限らず、メジャーマイナー純文エンタメの差別や区別なく取り上げられてネタにされるので、知ってる本が出てくるとテンション上がる。 作者の趣味なのか特にSF作品の登場頻度が高いので、同好の士は楽しめるのではなかろうか。 ぶっちゃけ絵は下手だが、小綺麗に整いすぎてても興ざめする内容なので、ゆるぐだ駄弁りの雰囲気にはよく合ってる。 もちろん「この解釈は違うそうじゃない!」とツッコミを入れたくなることもあるのだが、さわ子の言葉を借りれば「作品論を語りたいんじゃなく、好きな作品の話で一緒に盛り上がりたいだけ」なのでご愛敬。 感想日記やレビューを上げてる人にありがちだが、この初心は忘れちゃいけないと自省した。 本だけじゃなく映画にも造詣が深い作者のコラムも見所……というか、この作品の魅力の六割は、独特のとぼけた味わいのあるコラムに依ってる。 前評判を聞いてまとめ買いし、面白くは読めたのだが、正直一巻だけなら続きは買わなかったかな……という感触。 これは好みに尽きるのだが、同種のマニア漫画である「木根さんの一人でキネマ」は突き抜けたテンションとギャグの勢いで引っ張るのに比べ、良い意味でも悪い意味でも淡々とした日常系で特に目新しいドラマは起きないので、盛り上がりに期待すると拍子抜け。
2019年12月20日
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