不気田くんを初めて読んだのは、小学校低学年の頃でした。不自然に歪んだ顔立ちの醜い男の子が、自分の愛に応えない可愛らしい女の子を次々死へと導く物語は、子どもの私にはただただ恐ろしく、なぜ彼がそんなことをするのか全く理解できませんでした。
でも、時間を空けて発表される続編を読み進めていくうちに、彼の行動の理由がわかってきて、その悲しい呪いのお話に引き込まれ、怖いだけの物語じゃなかったことに気づきました。
それから30年近く経って不気田くんの新作をまた読めるとは。前作ではやっとアラクネの生まれ変わりに出会えて、奪うことはせず見守ることを覚えた不気田くんが、彼女と平穏に暮らすところで終わったと思っていたんですが、そこから彼は幸せになれるのか……ドキドキしながら読んで、結果とても切ないラストに胸が痛みました。ホラーだけど、不気田くんシリーズはできれば幸せなエンディングを迎えて欲しいと個人的に思っているので、もしまたこの先を読むことができるなら、楽しみに待ちたいと思います。