ずっと心に残っている素敵な作品です。数ある刑事裁判物の中でも、“人”を見つめる真摯で温かいお話です。 私はサスペンスやミステリーが好きで法廷物もたくさん見てきました。ただ、多くは正義や勝敗に重きが置かれ、工程の一つとしてばかり見ていました。 しかし日本でも裁判の増加や陪審員制度の導入されるなど、身近になりつつも、どんなところなのか調べることもありませんでした。 本作はその基本から丁寧に教えてくれます。 罪を裁くのは法ですが、それを訴え・見極め・判断を下すのは人間だということを、穏やかに教えてくれます。決して押しつけがましくなくかつ説教臭くないのですんなり入り込めました。 個性豊かな登場人物たちがまた愛おしく、この人たちのように真摯に自分の事件について考えてくれたらこんなに幸せなことはないだろうと思います。 もっと読みたかったのに完結してしまったのが残念です。これからこのお話を益々必要とする人があると思います。復活を願っています。