ある日唐突に人ならざる者にさせられた主人公。視力が異常に良くなったことによる夜空の表現がゴッホの絵画のように美しいのですがとても禍々しく、彼らの行く末を暗示しているように感じてしまいます。けれども悪いことばかりではなく、いじめまでいかずともいじられていた一部クラスメイトとの和解もあり少しほっとします。しかし変化した体も異形も、過去のしがらみも彼らに優しくはなかった…。 テーマなどは映画『ぼくのエリ』を想起させる場面があったりと真新しくはないのですが、絵・ストーリー共に確かな実力を持つ作者の手腕にあっという間に引きずり込まれます。 急激な運命の濁流に飲み込まれつつある彼らに、幸せな未来がどうか待っていますようにと祈らずにいられません。