1.この作品を読む価値はあるのでしょうか? 「復讐」という負のエネルギーに支えられ、悲願を果たすまではどんな手段でも厭わないという内容なので、読みごたえは十分かと思われます。
2.絵柄が気になりますか? 他の方のコメントで「古くさい」とありましたが、確かに作者は日本の劇画ジャンルを生み出した世代の方なので、今の作品の様なスマートさはありません。しかし、この荒々しいタッチが、主人公の何があってもあきらめようとしない「執念」とマッチするような気がしますし、読み進むとストーリーに没頭して、絵柄は慣れて来る可能性があります。
3.登場人物で男女の絵柄が違うように見えませんか? 現代マンガ図書館の創立者である内記さんがご存命の頃に、この作者の女性キャラクターはアシスタントが描いていたと教えてもらいました。この作者の他の作品で女性の絵柄の違うものがありますが、これは違うアシスタントの方が描いたもののようです。
4.登場人物の魅力度は? 主人公が、この作者の他作品「影男」の主人公にそっくりです。まさにハードボイルドのイメージが具象化されているようです。作者は手塚治虫先生の影響を受けただけあって、いわゆる「スター・システム」を採用していたのではないでしょうか?ヒロインも彫りが深くて魅力的です。テレビドラマ化された時は、若き日の三田佳子さんが演じておられ、ピッタリだと感じました。
5.見どころは? 裏で非合法的なことはするのですが、あくまで法律(会社法)を盾にとっての復讐となる点ではないでしょうか?そして、何といってもセックスアンドバイオレンスのシーンです。この作者のセクシーシーンでは、背景が暗くなり、相手女性の美しい顔立ちが浮かび上がるという、男性視点からの描写がとても特徴的です。昭和世代の読者なら、このシーンに見覚えがあるのではないでしょうか? ということで、この作品が目に留まりましたら、お読みになられることをお勧めしたいと思います。