V*****さんのレビュー
鬼国幻想
壮大な歴史ロマンで、主人公のお転婆かつほぼ男装の姫である主人公以外は実在の人物、かつ史実に添っているのだろうけど、この主人公が神出鬼没に自由に闊歩、仇の男たちを魅せていくあたりがとても良い。初恋の八雲王とはほぼ最初から恋仲ですが、この皇子さまが史実通りに悲劇的最期を遂げてからの想いがまた強烈。初恋の相手を得られなかったがゆえに、愛するものを裏切っても別の目的に邁進してしまう敵役も魅力的だし、敵の妻に一目惚れして捻れた愛を貫いてしまう男も良い。個人的のはこの男に惚れたし、愛されるのが不可能ならばむしろその手で殺して欲しい、はこの人が言うと響く。
めちゃくちゃ血なまぐさい時代に渦中ど真ん中にいてより戦火を拡大しちゃったひとびとの物語ですが、戦ものというよりは愛憎の物語だと思う。現在連載中の某少年マンガと時代やキャラが被るんですが、ベクトルが全然違うのでそこもまた面白かった。
2022年7月21日
5
マルチェロ物語(ストーリア)
「八雲立つ」の樹なつみ先生の初期の作品。舞台はフランス、イケおじなオオモノデザイナーに寵愛される絶世の美少年モデル、マルチェロが主人公。黒髪青目のマルチェロくんは仕事で女装するときはほんとに妖艶なんだけど、中身は実年齢以上に純心かつ芯の通った男の子で魅力的。
連載当時、鮮烈な印象を受けた作品なので、再会はとても嬉しい。
「八雲立つ」のようなホラー要素はまったくないけど、そういえば鬼妹似の仇役美人がいたり、そういえば「親友」がちょっとななち兄ちゃんぽいような気も。樹作品お好きな方なら、二重に美味しい作品だと思います。
2022年7月10日
1
銀のヴァルキュリアス
さちみりほ先生の異世界トリップファンタジー? と手を出しましたが、初期の代表作だったんですね。男は奴隷の世界で女戦士が大活躍する話ですが、傾国の恋もある辺りがやっぱり私的にはとてもツボです。ラストどう落とすのか後半ヒヤヒヤしましたが、スッキリ納得できるエンディングで良かった。
2022年4月24日
3
難病が教えてくれたこと4~知られていない奇病~
有用な知識が得られ、希望の持てる展開の話がほとんどなので読みやすい。
実は私もここに出てくる病気を持ってるんですが、軽症だったこともあって「難病」なのは最近まで知りませんでした。今なら生後すぐに治療すればほぼ治せるそうですが、病院で診断されなければ当然治療も始まりません。
難病と診断されるのはとても怖いですが、いろいろあった細かいトラブルの原因が病気だったとわかるとそれだけでもいろいろと楽になります。
2021年11月4日
0
ダブルケア~高齢出産と介護~
頼るつもりだった優しいお母さんが認知症になってしまって、という話。かなりさらっと描かれ、ハッピーエンドにおさめてあるので読みやすいです。
認知症は、周囲のひとに知識があるかどうか、で地獄になるか乗りきれるかにわかれると思います。料理と火の問題、徘徊トラブル、なにもしてくれない家族、そしてトイレ。 程度や時期は千差万別でも認知症になれば必ずたどる道筋じゃないかなぁ。認知症を治す薬はなくても対処法はあります。どういうトラブルが起こりうるかを知ることがその第一歩だと思っているので、こういう作品があるのはいいな、と思いました。
2021年9月25日
0
Artiste
6巻まで読了。
「芸術家」しか住めないパリのアパートが舞台で、メイン主人公は気弱な料理人のジルベール。冒頭ではジルベール君のお仕事奮闘成り上がりストーリーかと思ってましたが、いきなり他の住人の話になって面くらったあと結局納得。
みんなそれぞれちょっと変わってたり弱点あったりするんだけど、その関わりがイイ。「弱点」が本業では「才能」になるというのもまたイイし、「自分にあった仕事」というのは本来そういうもんなんだろう。
「芸術家の集まるパリ」 と聞くと え? それっていつの話 ? と思うかもですが、スマホやSNSのある「今」の話。(コロナ前ではあるだろうけど)
で「芸術家」が集まってるのは大家さんが「芸術家」と認めたひとにしか貸さないからで、いろんな職種のひとがいます。 でちゃんと(?) ネコもいる。このてきとーに描いたように見えるネコがほんっとうにネコらしく、そこんとこにも癒されます。
2021年9月23日
40
命の足あと~遺品整理業社ヒューマンズ~
16巻まで読了。
遺品整理業という特殊清掃をしている会社が舞台だけれどその紹介だけの作品じゃなく、もっと深く、いかに生きるか、を考えさせてくれる話。興味本意な暇潰しには向きませんが、時間作って読んでおくべき作品だと思います。だってあなたも、いつか必ず死ぬんですから。
2021年9月22日
47
ゴールデンカムイ
公式無料本日までという日にこちらさんでも!
私自身も気になりながら未読でしたが、この機会にと読み始めたが最後どっぷりと浸っております。
回想でなくナマで登場するキャラクターほぼ全員が超人奇人もしくは変態、ではあるんだけどみんな違ってみんなイイ。いや、倫理的、社会的にはアウトなやつもうじゃうじゃいるけど、マンガのキャラとしてはだからこそ最高で面白い。でもって、これはムリやろと思う人物に限ってかなり近いもとネタ人物が実在してたよーなのも怖いというか凄い。
アイヌのこととか当時の極東状況とかお勉強にもなるんだけど、そんなことよりまず面白い。まさに、手に汗握る闇鍋極東ウエスタン(アメリカからはたしかに極西)、弱肉強食なんでもありで女も強い。
でもって主人公不死身の杉元はほんっとうにカッコいいです。白石さんはめっちゃカワイく、土方さんの「いくつになっても男子は」の台詞もイイし、あのシーン決まりすぎ。実在の土方さんも美形の写真残してますが、きっちりその面影があるとこにもやられます。延々語っちゃいそうですが、これは是非読んで下さい。行くときは、一緒だよって先生も言ってます。
2021年9月20日
8
逃げ上手の若君
2巻まで読了。
これ、面白いです。史実に即した歴史ものなんだけど、その前にめっちゃ楽しい。背表紙折り返しに「程よい軽さ、適当さを忘れずに」って松井先生が書かれてますが、程よさ加減がまさに絶妙。
主人公の若君はビジュアル的にも性格的にも最強に可愛くかつ上品。親兄弟一族郎党の仇でありおそらくラスボスであろう足利尊氏も惚れちゃいそうに魅力的だし、倒していく敵の造形もいい。フツーに闘って倒すんじゃなく、愉しげに逃げながら強い大人を倒しちゃう。天才的に逃げ上手な若君は、逃げちゃいけない局面でだけは毅然として立ち向かうのが最高です。
同時に、笑えるシーンもいい感じに配合。現代の感覚には合わない「動物虐待」シーンへのいいわけには吹きました。未来がむにゃむにゃと見えちゃったりする現人神の怪しいおじさまは重要キャラなんだけど、お笑い担当でもあるよーな。2巻最後で出てきた次なる敵らしきヤツもなんかイケメンで先が楽しみ。
これ、いずれアニメやゲームになったら凄く映えそう。
2021年8月5日
3
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