W*****さんのレビュー
GOLDEN LUCKY 完全版
私は凡人なのでセンスだけでロジックが無いコメディーを面白いとは全然思わないけど、
この作品を面白いと感じられる人がセンスがあって想像力のある人だったとしても不思議には思わない
2023年6月18日
1
中学校狂師 ~カラス女は許さない~(分冊版)
有り得ない設定のアリバイとして「離島」「昭和四十年代」という舞台にしているのは理解出来ますが、もう少しディテールにもこだわって欲しいところ。服装や思考にその時代っぽさが皆無なのには目をつぶるとしても、さすがにパトカーやヨットといった舞台装置に考証の跡が全く無いのは頂けない。あと、まだ途中までしか読んでませんが恋愛パートになりそうな所で読み続けるモチベーションが落ちてきました。課金ブロックまで興味が持続出来るか微妙なところです。
2023年1月27日
3
リッキー台風《タイフーン》
あの時代のテリーファンクの謎人気がここにも。
平松先生の画力はこの作品で完成したようで、今の平松漫画を読んでる人には絵柄からの違和感や古臭さは意外なほど感じないと思います。
やってることはプロレススターウォーズと変わりませんが、バイオレンス描写が平松作品らしくちょっとだけこっちの方が上です。
最初に書いた謎のテリーファンク人気に便乗した平松版テリーマンみたいなキャラと主人公とのBL描写もちょっとだけ楽しめるので、最近の新日やドラゲーにハマってる令和プ女子の方には、意外に楽しめる作品のような気もします。
往年のベテランジャンプ作家の異次元続編ブームの先鞭をつけた平松先生なのでそろそろリッキー二世の新連載も期待したいところです。
2022年2月6日
3
きまぐれオレンジ☆ロード
優柔不断な主人公が生まれながらに超能力を授かっているため、努力もせず美少女達にモテモテという、今なら「中二病」丸出しなどと言われるであろう内容であることは否めません。確かに同時期に連載されていた大ヒット漫画の「タッチ」が同じ恋愛モノでも「血」と「汗」もちゃんと描いていることから、お手軽感は拭えませんが、とはいえアニメ化されてたくらいですから、そこそこな人気漫画ではありました。当時を知らない若い人はこの漫画を読んでパステルでキラキラしたピースでイノセントな80sを思い浮かべるかも知れませんが、当時隆盛のスクールライフは圧倒的にビーバップハイスクールの方でしたので、今思えばトオルとヒロシに怯え上杉達也のような才能にも恵まれず、且つ努力も出来ない圧倒的大多数の「持たざる者」のドロドロした妄想の具現化が恭介君のキャラクターそのものだったんではないかと。そう考えるとニンニク食べて巨大化する超人も、核戦争後の世界で象より巨大な馬に乗り小指で人体を引き裂く覇王も出てきませんが、「気まぐれオレンジロード」はジャンプ史上最大最高の(妄想)ファンタジー漫画であると断言させて頂くことに躊躇いはありません。
2021年8月25日
52
死体処理請負人 アマネ
「独特の世界観」とか手垢の付きまくった安っぽい表現は使いたくありませんが、そうとしか言い表せられない風変わりな作風。お世辞にも作画のレベルが高いとは言えないが、これ以上写実的になられるとグロレベルがR15指定になりそうなので、逆に良い案配になってます。死に行く者の見送り系漫画は「死神くん」にしろ「死役所」にしろヒューマンな内容が多く最後にホロリとさせられる感動作になりがちですが(それも好き)アマネはもっと御陽気です、ホラー映画で例えるならピータージャクソンの「ブレインデッド」やサムライミの「死霊のはらわた2」みたいな感じと言えば良いでしょうか。伏線もいろいろ撒いてあったのに、打ち切りという残念な形での連載終了となってしまったようですが、無料でサクッと読める秀作としてオススメ出来ます。
2021年8月22日
88
ミスター味っ子Ⅱ
大量生産、大企業、効率化とかグルメ漫画ではとかく目の敵にされてきたトピック達の「言い分」もきちんと描かれてたりするのは大変気持ちが良いです。
「美味しんぼ」が反体制とか反権力みたいなカリーの思想で安易にその手のモノ達を悪役にしてきた事で忸怩たる気持ちでいた食品関係者は多かった事でしょうから、知名度でかの作品に並ぶ本作が別の視点を提示してくれたことは大変意義深いと言えるでしょう。作品の内容も旧作のような料理バトル中心ではなく、もっと大きな視点での料理の世界の戦いを描いています。そのため旧作のノリを期待した読者は肩透かしを感じるかも知れませんが、キャラクターの描き方も含めて、しっかり成長した味っ子を楽しめる本作品はノスタルジーを超える水準の良作グルメ漫画としてオススメ出来ます。
2021年5月21日
51
[poor] (プア) ゼラニウムの誘惑分冊版
前の人のレビューでこの漫画は「芸術だ」って評価してたけど、
取っ付きにくい難解なアート嗜好の所謂青林堂系とは一線を画してると思います、警察機構やLGBT界隈の描き方のリアリティは綿密な取材の成果だろうし、その成果の土台が一見奇妙な絵柄や人物描写に揺らぐ事の無いエンタメ性を与えているんだと。とはいえ不思議な作風なのは確かです、各キャラクターの個性が雪の結晶のように拡大し枝分かれし重層にも折り重なり増殖し、それが止んだ景色を俯瞰で見れば澄み切った静謐で真っ白な雪景色になっている、そんな感性だけでは描けない職人的な作家性をシュールな世界観に落とし込んでいる、高次元の二面性を軽々と超えられる人を「芸術家」というなら、やはりこの漫画は「芸術」と呼ぶに相応しい作品なのかもしれない。個人的にはこの時点の作者は「未来世紀ブラジル」や「12モンキーズ」の頃のギリアムに匹敵する才能の持ち主だと言い切ることに躊躇いはありません。マモラ先生の作品は初めて読みましたが、こういう時期に素晴らしい才能を発見出来たのは嬉しい限りです。このサイトにもマモラ作品は多いので当分は退屈せずに済むので本当にありがたい。
2021年3月21日
128
あの人は悪魔
「登場人物全員悪人」というアウトレイジの宣伝文句思い出しました。
とはいえ、この作品に出てくるのは非日常的な「悪人」ではなく、あくまでも日常の延長線上にある「なんかイケ好かない」人達ばかりなので、リアリティがあります。しかも各キャラクターの味付けも絶妙で、特に主人公の描き方は秀逸です、
ある意味、少女漫画の王道主人公的な振る舞いや台詞回しなのですが、読者にちゃんと「罰当たれ」と思わせるさじ加減なので、読み進めて行っても彼女に振りかかる不幸が読者のストレスにならないのです。作者の方はバチュラーとかあいのりみたいな参加型恋愛バラエティを凄く研究してるんじゃないでしょうか?現実に自殺者まで出した興味と悪意を見事に主人公に落とし込んでいます。二次元のフィクションなので気兼ねすることなく、ヒロインにブーイングを飛ばしましょう。実写化希望。オススメです。
2020年12月12日
122
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