テ*****さんのレビュー
西荻窪ランスルー
どんな話かと言えば、派手なアクションがある訳でもなく、歴史的なドラマが展開される訳でもない。制作現場は、原画やセルのあふれる地味な所なのかもしれない。アニメは注目されるが、誰がどこを作画したかまで確かめながら見る視聴者はいないだろう。表舞台の裏方に回った様な、高校を卒業したばかりのアニメーターの成長物語。
絵の上手な先輩や、天才肌の人に驚きながらも、自分も絵を描いていく。その絵が動いて喜んだり、時には悩んだり。
アニメを見るたびにこの漫画を思い出し、どんな人が書いているのか想像しながら見てしまい、動きの滑らかさにどれだけの人・作画があったのか、などと思ってしまう。
2020年8月16日
55
海猿 完全版
新人の海上保安官が、いろいろな事件に対応しながら成長する物語と言えるだろうか。アクションのシーンは描き方がリアル、いろいろな角度からの描写やアップとロングの組み合わせで構成され臨場感がある。展開のテンポも良いため、一つの事件が起こると一気に読みたくなる。
所々に登場する女性記者とのシーンになると、コミカルでのんびりしたテンポになるのはストーリーのメリハリになるのかも知れない。
2020年7月26日
98
IMPACT 【合本版】
刀鍛冶の槌を振る動きが、ゴルフのスウィングに通じるのか。ゴルフ未経験の素人がゴルフの技術や面白さに目覚めていくストーリー。
その素人相手に、プロゴルファーがいろいろな心理戦を仕掛けてくる。止まっているボールを打つだけの競技だから、本人のメンタルが一番影響するだろう。そんな駆け引きが描かれているところが面白い。
主人公のような設定が可能なら、ハンマーを振る大工や、ルアーを投げる釣り師が、その経験を生かしてゴルファーになってもおかしくないのだが。
2020年6月26日
4
日野日出志 作品集 太陽伝
日野日出志と言う名前を知らなかったのだが、ホラー漫画か妖怪漫画のジャンルでは、作家の名前を知らずに読んでいた作品がいくつもあった。
デビューがCOMの「つめたい汗」のようで、武士の絵を何となく覚えていた。その頃読んでいたのだろう。
作品の時代背景は、古代か原始なのか。国を作るために人を集めていくのだが、出てくる怪獣の様な集団に日野らしさが感じられるだろうか。
テンポ良く戦いや融和が書かれているのだが、いよいよ国を作るところで終わってしまったのは連載中の人気が無かったのだろうか。
影で登場し、光で飛んでいく謎の人物は過去や未来の行き来を暗示しているのだろうか。それも明らかにされなかったのも残念。
ネタバレを含みます
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2020年6月20日
3
ケンカの聖書(バイブル)
梶原一騎の得意とする、根性と格闘ものと言った内容が全体的なイメージ。戦う関係からか、当時の画風からか劇画風に感じる。その後の750ライダーはかなりヒットし、少年漫画誌に合わせたような画風になってきた。
ただ、変わらないのが登場人物の体幹と微妙に傾いた首の角度。この姿勢を見ると、石井いさみらしいなあと思ってしまう。それでも格闘シーンとなると、動きはしっかり描けている。首の傾いたような人物描写は、心情の表現でも兼ねているのだろうか。
2020年6月4日
4
キャプテンKen 手塚治虫文庫全集
「少年サンデー」は長く手塚の作品を連載していました。「0(ゼロ)マン」の後に連載が始まったのが、この「キャプテンKEN」でした。
その予告がとての興味を引く内容でした。サボテンや馬の絵が出てくるのに、西部劇ではない。ドレスの少女が出てくるのに少女漫画ではない。どんな内容なのか不思議な期待を持たせました。
始まって見ると舞台が火星なので、当時の想像としては水の少ない砂漠をイメージしたのでしょうか。少年と少女の登場は、のちの「リボンの騎士」に繋がる発想ではないかと思ったりもしました。
火星への探査機が写真を撮ったり、着陸したりしたのは連載より10年以上も後の事です。手塚の想像力を思い浮かべながらこの作品を読むのも楽しいかもしれません。
2020年5月27日
91
サブマリン707
コマ割りや吹き出しの多さは、物語や機能を説明するために必要な当時のパターンだったと思う。潜水艦の戦闘シーンは、今の時代に読んでもテンポが良いのではないか。
時代がソナーのついた魚雷は無かったから、始めに打った魚雷を回避する相手の動きを考え、次は扇状に打つなど、水雷長の熟練した腕が必要だったなどと、漫画で学習した。
後半に向け707も進化し、小型の潜水艇で少年たちが海を進み乗り物は、当時プラモデルでも発売された。
対戦の頃の盟友が、最後は集中砲火で消えてしまう。理想は正しいが、やり方が間違っていたとう最後のセリフは、何十年たっても忘れずに覚えている。
今の時代、南沙諸島辺りでこんなことにならなければ良いのだが。想像しすぎかな。
ネタバレを含みます
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2020年5月10日
1
少年台風
スキマで「少年台風」が読めるとは思わなかった。小沢さとるの懐かしい海洋冒険物と言える漫画だろう。軍事物になっていないのは、少年が主人公で悪の組織と戦う構図だからだろうか。サブマリン707も、同じような展開を思い出す。海の物語だからか、登場人物には「速水」と言う名前が出ていなかったかな。
空母や戦艦、航空機のシーンが多い印象で覚えていたが、ちょっと正太郎少年に似た二人の関係が細かく書かれていたのだと再認識した。艦内の映画が「鉄人28号」と「鉄腕アトム」とは。当時の二大巨匠漫画だった。
今では日本が「いずも」や「そうりゅう型」保有するようになるとは。少年台風やサブマリンで、小沢は数十年先を予言して海洋物の漫画を描いていたのだろうか。想像するのも面白い。
2020年5月9日
3
オフサイド
作者自身が書いている様に、一時代前のサッカー漫画と言った感じです。サッカーパンツうんぬんより、弱小チームを主人公が勝たせてしまうパターンは一般的によくあったスポーツ漫画の構成でした。
ストーリーの展開や動きが感じられるコマ割りは、テンポよく読ませてくれる。しかし、試合中の描き方はなんとも展開がわかりにくい。ボールを持つ個人のプレーに焦点があたるので、試合の流れ自体がどうして勝っちゃったのと言う感じ。
でも勧善懲悪みたいなものだから、スポーツ漫画は主人公が活躍すればいいんです。
2020年5月7日
2
イカロスの山
小説では新田次郎が有名だが、山岳物の漫画と言われると誰とはすぐに出てこなかった。作者は山岳物を過去にも書いているようで、取材した登山家などがあとがきに書かれている。
二つ玉低気圧の怖さやザイルの結び方など、山の経験のある物には知識をくすぐられる話題が出てくる。ただ、登場人物の描き方が少女漫画に出てくる顔立ちやへアースタイル、細長身体の描き方になっている。山や登山シーンはよく描けているのに、どうも中心となる男性二人を見るとちょっと違和感を感じてしまうのは、個人的な少女漫画への固定概念だろうか。
登山のシーンはコマ割りやアングルが緊張感を増し、読むものを氷の壁へと導いてくれる。臨場感が有り一気に読ませてくれる漫画だ。
2020年5月6日
33
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