z*****さんのレビュー
聖戦記エルナサーガ【完全版】
もう何度読んだか分からないが、繰り返し読んでしまう名作。
悩み苦しみながら成長していくエルナと世界の対比が素晴らしい。
籠の中の鳥だった少女が、多くの出会いと別れを経て
己の業を受け入れ、世界を救う様はまさにサーガ。
以前単行本は揃えていたが、エピローグや連載時カラーが追加された
完全版がネットで読めるとはいい時代になったものだ。
2021年10月27日
8
聯合艦隊司令長官 山本五十六
単純に2011年の映画のコミカライズです、可もなく不可もなくといったところ
個人的には映画も五十六さんも評価してません
死ねば神様仏様、責任は有耶無耶ってのは日本の伝統ではありますが
70年以上経っても大事なところをボカして、悲劇の人として書く「古臭いパターン」をなぞってるだけってのは芸がないです
元々彼は軍政側の人ではありますが、実戦部隊の長としての責任を果たしていません
プロとして出来ること・出来ないことを明白にし(海軍)省の面子などに拘らずありのままを語るべきでした
(映画では脚色してますが)陸海軍共に開戦の責任を取りたくない、米に勝てるとも思ってない
どちらか避戦に動いてくれないか押し付け合いをしているのが全面禁輸後の状況でした
結局誰も責任をとりたくない、負けるとは限らないからとりあえず戦争する、理由は前に決めた期日になったからという体たらく
南方を占領すれば資源も手に入るし、ドイツが戦争に勝てばなんとかなるんじゃないかという見通しです
(シンクタンクである総力戦研究所は必負との報告を提出)
オミットされていますが、彼は首相の近衛にプロとして開戦後の見込みを聞かれた際
「やれと言われれば海軍は半年や一年は存分に暴れてごらんに見せます」なんて詭弁を吐く始末です
海軍としてはこれまで大量の軍事費を使い、倒閣騒ぎを起こしてまで建艦競争に拘った過去があり
仮想敵国の米国に勝てないとは言い難い状況ではありました
ただ米が1940に両洋艦隊法を制定した以上、(脱退して軍拡しましたが)もともと条約で対米6割の戦力しかもたない海軍では
1943以降、戦力バランスが一気に崩れるのは周知のことでした
どんなにやられようと1~2年も経てば新造艦が大量に就役して、3年後には日本の3倍以上に膨れ上がる米海軍
日本の600万トンの船腹ではハワイや豪州の攻略すら不可能で、いわんや米本土などとても…
よって対米戦は必ず長期戦になり、MIで勝とうが大勢に影響などありません
無理を重ねて前に出た挙句、大敗した上に石油の備蓄を大幅に減らし
生命線であるシーレーン防衛もおざなりのままソロモンの泥沼に嵌り、本人はさっさと逝ってしまいました
日本人はよく混同しますが、個人として良い人間であることと、国家の重責を担うGF長官の資質は=ではありません
浪花節で戦争はできないのです
2019年5月28日
12
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