1.この作品を読むことになったきっかけは? 『同棲時代』」を読んで、この執筆者の作品にはまったことがきっかけです。 2.ヒロインは魅力的といえるか? 読み始めは「気が強くて、頭脳明晰で、腕も立つ」というだけでなく、女性としての操を穢されそうになっても難なく切り抜けるので、「この人は何でも想定の範囲内なのでは?」と思ってしまいます。しかし、読み進んでいくと、単なるステレオタイプではなく、冷や汗もかくし、動揺もするという人間味が伝わってきてとても魅力的です。この執筆者がいつも描く女性の顔よりも、三白眼気味になっているものの、相変わらず鼻筋はすっきりと通っていて、キリっとした印象です。この執筆者の画風だと思うのですが、顔を斜め上や斜め下から描く際に、少しゆがんでいるような、とても特徴的な描き方をしていると思います。最初は少し違和感を感じたのですが、「人の顔を色々な角度から見ると、こう見えるものなんだ。ピカソにもそう見えていたのでは?」なんて思えて来るから面白いものです。 3.内容は面白いといえるのか? 「こんなこと学校の先生がやっていいの?」というセンセーショナルなシーンの連続で、飽きさせません。正に「教育界は闘争の場である」といった前提で、少し誇張してストーリー展開をしているのかもしれません。教師として赴任したばかりの頃は、ヒロインの想定内に収まっていたことが多かったと思うのですが、段々と複雑な問題に直面してそれを乗り越えようと悪戦苦闘していく姿は見ごたえを感じます。 4.時代や政治色を感じさせる面も この作品が雑誌掲載されたのが1970年代で、現在の日本人が使わないような用語が沢山出てきます。更に、実在する政党名が出て来るので、もしかすると嫌悪感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。当時の教育界における時代背景を踏まえながら、それなりに楽しめば良いのではないかと思います。