北国の村を舞台にした一話完結型の群像劇。
出稼ぎ問題、過疎化、自然、差別、伝統、相互扶助、村社会の暗部等をストーリーの軸に、そこで生きる人達の美しさ、悲しさ、健気さ、美学、理屈でない感情を繊細に描いたドラマである。
昭和中期の純文学の短編集にこういった雰囲気の作品が多い。
画力も圧倒的で、一見してわかるデッサン力や人物の躍動感や背景の綿密さだけではなく、画面全体の作りが異常に上手い。
ダイナミックな作風の釣りキチ三平やマタギ文化を描いた作品が有名だが、このレベルの繊細な物を描ける漫画家は殆ど居ない。