悪の華の続編で、作者の長所と短所が上手くハマっているので前作よりも楽しめる。柳沢きみおの作家性として「溢れ出る知性の無さ」がよく挙げられる。それが駄目な方向に働くと、知的だという設定のキャラクターが作者が精いっぱい考えた頭の良さそうな台詞を喋り、周囲の人間が感心、感動するという安易な手法と、デッサンの存在しない絵柄が合わさって子供の妄想のような陳腐さを醸し出す。だが、本作の主人公は作者が背伸びをせずに描ける欲望に正直なチンピラなので「溢れ出る知性の無さ」はリアリティを生み、特に性に関する叫びは異常な生々しさを感じさせる。粗野だが人情家でアウトローという古き良きヒーロー像をきちんと描けている。構成力と演出力の無さからくる、飽きて投げたと思われるような雑なラストは相変わらず。