素晴らしい。▼おそらく凪にとって「書をする」ことは日常に組み込まれた極めて自然な所作なのではないだろうか。そしてそういう人たち(おそらく環や水絵も同類なのだろう)には,我々と違った何かが見えているのではないだろうか。そういうことを自然に感じさせてくれる作品だった。▼#1〜#17は一つの作品(短編連作)なので個々のサブタイトルの話をするのは少し変だが,物語の主題となる凪の書を環が目にする『あたらしいこころの話』が特に良い。何も知らない環が凪の書を直観的に理解するシーンの描写が素晴らしい▼#18以降は独立したスピンオフ短編だが,この中では「書をする」凪の凄みが描かれている『大樹に舌が這った話』が特に好き。▼私は書道するアイドルを知っているのだが,彼女が書を為す時はこういう感じなのかな,と思うこともある。