一言でまとめると「全盛期のプーチンが異世界へいく話」。
戦乱を乗り切った新興国の現役大統領にして伝説の英雄・プルチノフが、あふれんばかりの騎乗欲に駆られ、あらゆる動物やモンスターに乗りまくる(意味深)話。
正直なろう系のご都合主義には食傷してたが、この作品の設定は痛快。
なんといっても異世界召喚されるのが霊長類最強の大統領。
初登場から半裸でマイ虎に跨り登庁、あらゆる格闘技を習得して地球上のほぼあらゆる乗り物(動物含む)を乗りこなしてきたというから凄い。
チートな加護なんてなくても現実世界で頂点を極めた実績があり、それ故やることなすことが大スケール。
それでいて天然入ったトボケたマッチョオッサンなのだが、人として高潔で、やることなすことカッコイイ。
弱きを助け悪しきを挫き、子供に優しく礼儀正しい。奴隷商人と間違われる悪人顔だが、中身はストイックな武人タイプときて、とても好感がもてる。
異世界召喚もので応援したくなる主人公はいても、支持したくなる主人公は珍しいのでは?
現在の仲間は女性ばかりだが、ハーレムな雰囲気はほぼない(トンデモねェ潜在力を秘めたプルチノフをどう利用してやろうか……と企んでたら、規格外のトンデもなさにびびって振り回されてる)
あらすじだけ読んでケレンミたっぷりのギャグを想像してたら、意外やファンタジーとして作りこまれている。
たとえば異世界に飛ばされたのになんで普通に言葉が通じるの?という疑問。
神様のご加護だよ!とか、転生サービスだよ!で済ませる作品は多いが、この漫画では「文字や数字を多用する職が賜る言の葉の神の加護で、信仰するといいことがある」と解説され、その伏線がストーリー展開でちゃんと回収される。
幼少期のケンタウロスは馬脚が発達せず二足歩行なのだが、その理由に感動した。
架空モンスターの形態や生態をちゃんとその習性と結び付けて考証しており、ファンタジー好きにはたまらない。
ギャグ方面に突き抜けるかとおもいきや、異種族とヒトの争いやモンスター討伐やダンジョン攻略など、冒険要素もきっちり踏まえて今後の展開がたのしみ。
それにしても「子供を質にとる賊などテロリストとおなじ扱いでよかろう」と啖呵を切る大統領かっこよすぎ。