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よろこびのうた (
[完結]全1巻
)

よろこびのうた

よろこびのうた

[完結]全1巻
(2)
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40
北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。
北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。
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北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。
北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。

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老老介護に疲れた夫婦の無理心中で処理された事件を取材するため、限界集落にとんだ記者が見たものとは。 誰かが言っているが、たしかにファンタジーでありフィクションである。本人、または身近に介護者や被介護者がいる者が汚い面を全く描いてない、美化していると憤慨するのも理解はできるが、この作者と作品に関しては描きたいテーマにふさわしい見せ方を選択したのだと感じた。 書きたいテーマとは何かだが、個人的には「イノセントな夫婦愛」だと感じた。 救い難く悲惨な現実、陰惨で猟奇的な事件など、いくらでも露悪的にグロテスクに描けるし、現にその手のフィクションは巷にあふれている。 辛い現実に必ず救済が用意されてる訳ではないと、むしろそんなのは一握りの幸運な特例だと、テレビやインターネットの連日の報道で私たちはもう知っている。この作品は、ただ光をあてる場所が違うだけだ。 どんなに惨い結末をむかえたとしても、そこに至るまでの道のり全てが哀しみや苦しみだけで埋め尽くされていたとは思わない。 表紙には手を握り合い幸せそうに目を閉じた老夫婦。 死んでいるのか眠っているのか、その表情は満ち足りて安らかだ。 だがこれは火葬場の中で、夫婦は今から生きながら燃やされようとしている。 フィクションだ。あたりまえだ。ファンタジーだ。それはそうだ。でも誰も何も悪くない。 赤星のみ例外だが、本書の登場人物が誰かが誰かの為に行動した。 誰かを守り庇い助ける為の行為が必ずしもハッピーエンドに繋がる訳ではなく、回り回って人を呵責し、死に至らしめる事もある。 老老介護、過疎化した限界集落、DV、虐待、終活。 キーワードだけ並べるとなんとも殺伐とした印象を受けるが、実際の描写はシンプルな絵柄も相まって淡々としている。 夫婦が選択した終わり方は過激だが、私には二人が不幸だとは思えなかった。 火葬場の中で交わされた最期の会話、「神様!」という妻の心の叫びは、空の上の神様に向けたのではなく、彼女にとっての神様……最期の最期まで彼女を愛し包み労り思いやり、共に添い遂げんとした最愛の夫に向けたものだと私は思った。 個人的に物足りない点を挙げれば、よそ者の傍観者に徹した記者の存在感。 集落の内側の話を書く為には仕方ないかもしれないが、彼が地道な取材で核心に迫る展開を期待すると肩透かし。
2019年12月20日
2017年1月24日

第1巻

無料試し読み(31ページ)

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老老介護に疲れた夫婦の無理心中で処理された事件を取材するため、限界集落にとんだ記者が見たものとは。 誰かが言っているが、たしかにファンタジーでありフィクションである。本人、または身近に介護者や被介護者がいる者が汚い面を全く描いてない、美化していると憤慨するのも理解はできるが、この作者と作品に関しては描きたいテーマにふさわしい見せ方を選択したのだと感じた。 書きたいテーマとは何かだが、個人的には「イノセントな夫婦愛」だと感じた。 救い難く悲惨な現実、陰惨で猟奇的な事件など、いくらでも露悪的にグロテスクに描けるし、現にその手のフィクションは巷にあふれている。 辛い現実に必ず救済が用意されてる訳ではないと、むしろそんなのは一握りの幸運な特例だと、テレビやインターネットの連日の報道で私たちはもう知っている。この作品は、ただ光をあてる場所が違うだけだ。 どんなに惨い結末をむかえたとしても、そこに至るまでの道のり全てが哀しみや苦しみだけで埋め尽くされていたとは思わない。 表紙には手を握り合い幸せそうに目を閉じた老夫婦。 死んでいるのか眠っているのか、その表情は満ち足りて安らかだ。 だがこれは火葬場の中で、夫婦は今から生きながら燃やされようとしている。 フィクションだ。あたりまえだ。ファンタジーだ。それはそうだ。でも誰も何も悪くない。 赤星のみ例外だが、本書の登場人物が誰かが誰かの為に行動した。 誰かを守り庇い助ける為の行為が必ずしもハッピーエンドに繋がる訳ではなく、回り回って人を呵責し、死に至らしめる事もある。 老老介護、過疎化した限界集落、DV、虐待、終活。 キーワードだけ並べるとなんとも殺伐とした印象を受けるが、実際の描写はシンプルな絵柄も相まって淡々としている。 夫婦が選択した終わり方は過激だが、私には二人が不幸だとは思えなかった。 火葬場の中で交わされた最期の会話、「神様!」という妻の心の叫びは、空の上の神様に向けたのではなく、彼女にとっての神様……最期の最期まで彼女を愛し包み労り思いやり、共に添い遂げんとした最愛の夫に向けたものだと私は思った。 個人的に物足りない点を挙げれば、よそ者の傍観者に徹した記者の存在感。 集落の内側の話を書く為には仕方ないかもしれないが、彼が地道な取材で核心に迫る展開を期待すると肩透かし。
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