弐瓶勉先生の名前は前々から聞いていたが、その作品を読んだのは今回が初めて。一見すると意外なほどシンプルで、しかも気を抜けば雰囲気に流されてしまいそうな状況設定。にも拘らず、作品世界と、その世界で生きようとする人々の姿がしっかり地に足が付いた形で描かれ唖然とするばかり。構成する要素について、設定と表現、その異なる二つ方向から丁寧に考え組み立てていなければこうはならない。噂通りの分かり難い描写も見受けられたが、練り込まれた面白味に引っ張られ、齧り付いて読まざるを得ないほど引きこまれた。そして、これはもう唸るよりほか無い作品だと脱帽した。(ここで★5を出すと先生の名前だけで他の作品も★5にしかねないのでとりあえず★4) // 後日記載:[ブラム学園]が面白かったので★プラス1。やはりこの作品は得難いとつくづく思い知らされた。