upside03さんのレビュー一覧

マイナス 完全版
「良かれと思って」「悪気はない」 「あっちから仕掛けてきた」 「嫌われたら何されるか分からない」 だから、仕方がない。 被害者意識の恐ろしさとは 自分を被害者(マイナス)に置くことで 他者を加害者に仕立てあげ 人間関係に亀裂を生み、どんどん自分本位で盲目になっていく事だ。 この漫画は、マイナス思考がゆえに行き当たりばったりで 勝手に問題を生んでは強引に隠滅する教師の物語です。 基本的にはぶっ飛んだギャグ漫画ですが つい極端にすがってしまう人間の弱さを描いた普遍的なメッセージ性もあり、妙に心に刺さります。
松森正作品集 僕等は愉快な訪問者
大友×松森は1話と言わず1冊の作品集で読んでみたい。
地球最期の日
『地球最後の日』が題材のハードボイルド作品。 それは「地球最後の日をハードボイルドする人々」と言い換えてもいいはず。 苦味まじりの絶望。
18階の男
78~81年に描かれた現代社会の闇というか歪みを写したような作品。 当時の日本社会に関心があるなら一読の価値はあるけど 社会背景が色濃いので娯楽としてはハードル高いです。
タイニー
松森正の絵はスピード感と凄味があって良い。徹底して娯楽作。
肌の記憶
「鬼火」は現代に置き換えると、アイドルとオタクの寓話のように読めた...。 あとはどれも大人の官能な短編。ヒヤリとする感じもあり味わい深い。
傷追い人
復讐心の物語であり、それに寄り添い応える女の物語でもある。女性に対する敬意を払ってはいるがあくまで男尊女卑!男の世界!まさに劇画!
クライングフリーマン
殺し屋の資質を買われ強引に裏社会に引きずり込まれた男。 仕事を終えるたび条件反射で涙がこぼれる。 という設定なので筋書きとしては 自分を殺し屋にした組織に復讐、であるべきなのだが、 その組織が実在していたと連載中に発覚 しかも作品を読んで気に入っていると言うから、 とても悪くは書けなくなり路線変更を余儀なくされた。 てな経緯があるものの、細かい辻褄はどうでもいい。 めちゃくちゃ面白い。 ギャグ要因の巨漢の女を含め、なんじゃそれな描写の連続で アクション、人情、バカが詰まってる。とにかく楽しい。
片恋さぶろう
老家康の悲願は徳川安泰のため齢8つの和子姫を天皇の下へ入内させる事。 京の公家は阻止するべく刺客を送り込む。それを守るが片乞三郎と。 タイトルが片恋だから思わずエッと思いましたが、当然ながら忠義の愛。 そこまでするか!という命の尽くしっぷりはまさに献身。 人生丸ごと捧げる姿に胸打たれました。 気迫の凄味が充満して最後まで突き進む怒涛の物語。傑作です。 あと、収録されているカラーイラストの美しさよ。
ニンジャ警察 悪人喰い
どこから触れたら良いのやら・・・。 8篇収録のうち題名のニンジャ警察は3話。 真田十勇士がベースだが活かされない。 忍者というよりカンフー。どの話も投げっぱなし感あり。 広い心で読めば楽しめるタイプの漫画。 駄作寄りのヘンテコ作品集。まぁ表紙の通りです。
水すまし源五郎
初期作品。という事で作画もストーリーも実力は青いです。 かわぐちの父は海運会社で戦時中は掃海艇の乗組員。でこれは海上保安士の話なので、後の代表作を考えるとよりルーツ色が強い作品に思えます。 まぁでもかわぐちかいじの熱心なファンでないと特別読む理由はないのかも。 見所を強いて挙げれば田川の目の小ささ。
愛物語
秀逸な短編集。ポエムみたいだったらどうしようと思ったが、 切なさや綺麗に終わったけどここからが大変だと分かる苦味が、 あくまで前向きに描かれる。 どれも良かったけど、最後の話が一番かな。 それまでは男の弱い部分に焦点が当たってたけど、 これはフルスイングで男臭い。 女性によっては怒る人もいるかなぁ。 でも読んでる分には独善的に見えるくらいが面白い。
獣のように
当時のビリヤードブームを受けて、ヤクザがタマの取り合いする漫画w 話の運び方がホント上手い。緊張の糸がピーンと張ってる。気迫のせいでショットのシーンは指詰めを連想しちゃう。 2巻まではビリヤード要素もあったけどそれ以降は普通のヤクザものですね。
マニュアル
企業戦士、VHS、オカルト(UFO、超能力)・・・時代ですね。 絵は野暮ったいけど原作の良質さは感じます。 データ漏洩とかAIの暴走とか何にせよデジタル方面での恐怖はあっても「磁気がオカルトを呼び寄せる」なんて発想もう誰も考えてないですよね。そういう意味では今読むと新鮮。 ぶっ飛びながらも狩撫麻礼の現代社会に対する反骨と悲哀が良い渋味になってる。 でも一番の見どころは最後のコマの絵力。(漫画好きの間では有名なんだろうか?) 変な漫画だ~。まぁ当時のオカルトブームの影響下にある作品なので、いたって真面目にエンタメした結果なんだろうが。
チャージ
女好きのラブロマンス。と言っても何においてもだらしない、能天気だから周りに(今のところ)愛されてるだけの主人公なので、出会うのはいろんな角度でアバンギャルドなタイプばかり。軽薄な中に現代社会の悲壮がある。最後の最後まで一貫したノリなのが良い。
エッヂ
単純に原作と作画の相性が良くないなぁ・・・。 狩撫さんの荒涼としたストーリーに田村さんのギャグが乗っても作品の空気が温まっていかないから常にぬるい風が吹いてる感じ。 あとギャグを挟むだけ展開が遅れて進まない。 もう少しコマ割りを細かくして濃縮していれば、と思ったり。 あくまでバランスの問題。不完全燃焼って言葉に尽きるけど、珍品としての魅力はある。
ライブマシーン
ジャズピアニストが殺し屋としての人生を送り始める物語。余計な説明もなくソリッドで気迫があり、スリリングながら静謐な雰囲気。余計な贅肉(ストーリー上の無駄、ポエム、偉ぶったメッセージ)がないおかげで最後まで緊張感が持続した。傑作。
唇にブルース・ハープ
表紙とタイトルがすべて。 80sの洒落込んだ時代感覚とそれに抗うようなブルース。 軽薄な空気や表現が入ってるけど、醒めた目線があるので今読んで極端に鼻白みはしない。 とはいえ男の愚かさ情けなさ武骨さに振り回される女の構図のラブストーリーはどうしたって時代を感じてしまうが。それはそれとして味。
淑女たち
80年代半ばの女子美大生3人の淑やかな(男に縁がない)日常。 時代の空気に飲まれないぞ、魂は清くあろう、という狩撫麻礼の精神を感じる。 作画によって男臭さこそないが、男らしい思想の作品ではある。 しかし最終話の淑女リスト(作者の考える淑女の一覧表)は、こういう女性になりたまえよ?とでも言いたげなオッサン剥き出しで笑った。
DAYS
ラストのモノローグが上手くいってない(言いたい事は分かったけど)と思いつつ、おおむね不満なく楽しめた。
探偵物語カブ
失踪した妻を追って会社を辞め私立探偵になった男の物語。 表紙がジグソーパズル風だからミステリーかサスペンスっぽい雰囲気かと思ったがそうでもなかった。なので謎解きとか巧みな構成は期待できない。しかしゆるゆる読む分には良い。 時代を感じる題材ばかりですが9話「スタア」12話「狂気の肉弾」はある意味先見の明な内容かな。
探偵ハンマー
狩撫麻礼原作の『ハード&ルーズ』が面白かったので、 ボクサー崩れの探偵という共通した設定のこの作品を読んだ。 前者が83年、後者が81年なのできっとこれが原型。 『ハード&ルーズ』の秀逸さに比べると、どうしても見劣りしてしまう。退屈とは言わないが比較対象があるのがツラいところ。 願わくばこれを読んでから『ハード&ルーズ』 あるいは『ハード&ルーズ』さえ読んでもらえれば。
六識転想アタラクシア
ストーリーにドラマがあってないようなものだから長編としてはちょっとキツイかな。100ページ5話くらいの中編ならちょうど良かったかも。
バッドブラッド
麻薬、高級コールガール、頭脳、ハッタリ、軽業・・・世間に棄てられた男と女が夢の実現に向け大金を稼ぐ!悪い血脈は果たして世間と家族どっち?と問うような作品。エンタメ的にはもう少し痛い目を見ても良かった気がするが、むしろこの先にそれが待ってるかも知れず、何とも言えない後味。血の滾る渋味。
女子攻兵
エヴァンゲリオンを筆頭とした90sサブカルチャーオタクカルチャーに取り憑かれた神が作ったかのような世界観。実態の見えない神に仕組まれた世界(管理社会)とそれを破壊しようとする革命の物語。現代日本を含めて世界に蔓延する閉鎖感を上手く作品に反映した妙に生々しいディストピアが描かれる。 現実か虚構か?的な構造は今まで漫画でも映画でも見たけれど、この作品が最終的に肯定するメッセージは新鮮に感じた。人によっては人生の息苦しさを救済しうるかもしれない。
ハード&ルーズ
毎回ちゃんと着地して余韻がある。 時代の空気(バブルに突入した現代人、渦中の現代人。そして過去に思い馳せる老いた者たち)が凝縮されている。 極上の渋さ。探偵稼業の人生模様の移ろいを飽きさせず読ませるので、マンネリを感じさせずに終わった。満足。
ももえのひっぷ
田舎の狭いコミュニティならではの性と政治と人間関係。 バカとエロとサスペンス。そこそこ面白いがいい塩梅で持続する感じ。 終盤の駆け足こそ勿体ないですが、面白かったです。
べっちんとまんだら
現実と虚構が混在した空気を楽しむに尽きるとは思いつつ、ちょっと消化不良。べっちんとまんだらの関係性というか距離がいまいち魅力的に映らず、結局2人は交わってるようで交わってなくて、それが良い方向に向かってないように感じてしまった。

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シガテラ
毒っ気はありつつ日常の範疇に収まるようなエピソードばかり。しかしそれが蓄積していくことで「普通」の恐ろしさが暴かれ、普通の外側は決して遠くないという実感が溢れてくる。
ヒミズ
『罪と罰』のような文学めいた題材ながら、あくまで漫画的で現代的な空気が充満してる。退屈すぎず、安っぽすぎず、絶妙な空気を感じる。
僕といっしょ
稲中は中学という檻にいるからこそのテンション。 これは育児放棄され社会に放り出された中学生(と小学生) テンションは相変わらず高いがゆえに悲喜劇的で 切なさもあって味わい深い
殺し屋1
グロいシーンがちゃんと痛々しい。でも露悪的なだけじゃなくストーリーが面白いし、暴力に哲学や心理学の裏打ちがあり知的好奇心も刺激される。
えの素
無駄がない。テンポ、スピード、ギャグの芸術。
GOLDEN LUCKY 完全版
笑いってなんだろう、面白いってなんだろう、という事を改めて考えさせられる。意味不明の一言で片付ける事も出来るけど、榎本さんはこれで笑いが起きるはず、面白さのバリエーションの1つと思って発表している。笑いを考える目線で読むのも一興だと思います。
誰でもないところからの眺め
終盤に至るまでは3.11以降の空気の中で認知症(のような状態)が伝染していく生々しいホラーとしてこの上なく恐ろしかった。 老人たちが口にしていた「逃げる」は何を意味するのか。東北?日本?社会?私? 車で山へ向かうのはいいけど、その後どういう生活送るのかが気になる。というか到着して終わりはちょっとモヤモヤするなぁ。今後の創作でテーマは引き継がれる部分があるのかもしれないけど。

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ブラッドハーレーの馬車
8話の連作にしては重さ・惨さと作品のバリエーションが不一致な印象。繰り返し繰り返し悲劇が起きるだけで、もっと多角的に時代や世界が見えれば作品集の意義はよりあった気がする。正確な言い回しを忘れたけど原爆に関して「14万人が1度に死んだのではなく、14万回の殺人が起きた」というような文章を読んだ覚えがある。そういう意味では繰り返し悲劇を描くことが戦争の悲痛さを伝える意義になっているかもしれない。でもそういう作品じゃないだろうし、かといって露悪的に面白がれる感じでもないし何とも。
無法使いアッポちゃん
魔法少女の格好をした成人女性とその家族の物語。不思議ちゃんが不思議ちゃんになるには理由がある。そんな切なさと現実の苦さと常軌を逸した笑いを味わえる作品。 十中八九打ち切りのようで、消化出来ていない部分はあるが一応まとまっている。でも続編があるならやはり読んでみたい。
女子高生に殺されたい
てっきり最後まで「待つと無料」かと思い読み進めてしまった。。。 魅力的な題材に頼らず、人間ドラマで魅せているのが良かった。 願望に憑りつかれた男の主観一辺倒ではなく 登場人物を掘り下げ、関係させることで物語が運ばれていく。 全2巻のボリュームも丁度いい。
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