h*****さんのレビュー一覧

乱歩の美食
背伸びしすぎてないグルメを淡々と楽しむすっとぼけた探偵のキャラが個人的にはかなり楽しめました。食がストーリーに大きな役割を果たすような作品ではないですが、食べているものから調査対象の人物の性格がほの見えるくらいのあっさりした描写が、力が抜けててこの絵柄にも主人公のキャラにもあってる感じがしました。日常脱力系が好きな方におすすめです。
プリンセス オン アイス
評価の低さに驚きましたが、塀内先生のスポーツ漫画は良作揃いなのでみなさん期待値が高すぎたのでしょうか?リゾルトが読める程度のライトなフィギュアスケートファンですが普通に面白く読めました。ただ確かにラストはちょっと物足りない、もうちょっと主人公の紆余曲折、他のキャラ(特に蒼一郎)との絡みも見たかったかな。 かばちゃんとれいのコンビは特に魅力的。この二人が気に入った方は『塀内夏子短編集』収録の短編に似た二人が出てきて、こちらもかなり面白いので読んでみるといいかもです。
ボイスカッション
天生の才能を持つ主人公の成長と成功を描く割と定石通りのストーリーで、読んでいて普通に面白いです。絵もちょっとクセがあるけど綺麗で読みやすい。 ただ、主人公の持つ声霊になれる資質に焦点を当てすぎ、他の要素は軽視されているように感じます。しかも声霊というのに具体的な説明がなく、そこにこだわる主人公や周囲の人たちがいまいち理解出来無い。実在の職業にファンタジーめいた概念を持ち込むならもうちょっと説得力のある理屈をつけ無いと荒唐無稽な感じが否めません。 あと細かいことなんですが、物語初盤の演劇部の仲間や演劇の描き方は、声優にしか興味がなくて舞台演劇のことは良く知らないのかな、と思ってしまいました…演劇好きの方はモヤモヤしてしまうかも。
アメリカなんて大きらい!
タイトルとは裏腹に、ものすごいアメリカ愛に溢れた作品です。NY、NRA、カジノ、アーミッシュ、バイキング、ネイティブアメリカン…アメリカの多様さ、複雑さを、アメリカで行方不明になった恋人を探すというロードムービー形式で描き出すストーリーに引き込まれて一気に読んでしまいました。この作者さんの持つ、暖かくかつ知的好奇心を満足させる作風も好感が持てます。社会の裏側というか、あまり光の当たらない事象を題材にしているので、最初はアメリカ社会の描き方がネガティブに感じられるかもしれませんが、それだけに却って最後はアメリカという国の良さがじんわり染みてくる構成になっているように感じました。ちょっとヒネった旅行記が好きな方は是非。アメリカ嫌いな方も是非(笑)。きっと今までのイメージとは違うアメリカを発見するはず。
郁郎さん(43歳)は甘えたい
中年男性が好きで、おっさんならではの可愛さと言うギャップが萌ポイントと言う人には是非是非!なBLコメディ(に、なるんですよね?)。デッサンのしっかりした絵も作風にあっていて、店長の優しい表情もとってもツボです。個人的にすっごく気になるのは一コマしか出てきてない社長…何故そんなに本物っぽいの…。今後が楽しみで仕方ないです。
花底蛇
昭和の上流階級を舞台にした毒のある気の利いた短編が絵柄の端正さによく似合ってます。立原正秋の小説みたいな読み応えに満足。最後の話はちょっと設定がわかりにくいかな。当時は飛行機の航続距離が短かく、欧州便は給油のため途中のアンカレッジ空港でいったん着陸し、その間乗客は空港のターミナルで数時間過ごしたらしいです。そんな時代もあったんですね〜。
ホンモノを教えてあげる
「さようなら、ずっと愛してる」と言う薫さんの最後の言葉がテーマになる作品なので、ラストがこれというのは納得出来るんですが、その肝心のテーマに唐突感が残るのが残念です。エロシーンを入れるためにブレブレになってしまったのかな?桜也の鏡像としての雪穂さんの設定も、相手に求めるだけの彩音と対照的な暁くんの存在も、生かしきれてない。これだけ設定が凝っているのだから、話の構成をエロより優先させていたら、ラストのすれ違いの見開きはすごく余韻の残る印象的なシーンになったのに。ラストシーンが見事なだけにそれまでの構成の甘さがメチャクチャ惜しい!ただTL作品としてはエロ優先は正しい姿勢なのかも。

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月の行方
登場人物たちは人間らしい感情を理性で制御しようとして、頭でっかちで、理屈っぽいです。なのに不思議と生き生きとしていて、ひたむきで、読んでいるうちに誰もが個性的で魅力的に思えてきてしまう。形は違えどどの人物も相手を思いやる気持ちを持っているからでしょうか。かわみなみ先生の作品の中では珍しくギャグは少ないですが、読み終わったあとに余韻を残すお話です。個人的にはかなり好きです。家族や愛情の多様性を描いた作品が好きな方は是非。またお金持ちの養女になるシンデレラ・ストーリーでもあるのでソレ系少女漫画が好きな方にもおすすめ!
爺さんと僕の事件帖
小学生たちが周囲で起こる事件に遭遇し謎解きをしていく物語、とはいえ子供達は純粋無垢なだけでもないですし、大人たちもクール。特に主人公の祖父との、会話もほぼない、とはいえ情がないわけでもないような不思議な関係は、好きな人はハマるのでは。 やりきれない事件や祖父の大正・昭和の時代の話も出てきて、ミステリーの謎解きの面白さと近代史もののレトロな懐かしさが配分された物語の面白さにも引き込まれます。 扱うテーマは軽いものではないこともありますが、社会派と言うほど重すぎず、主人公も自分の暗い生い立ちを普通に受け止めていて影を感じさせず、どことなく軽やかな独特の読後感がとても好みでした。 2巻目くらいから断然面白くなってきます。と思ったら『井上の悪魔』の原案が草間さかえさん!草間さんの作品が好きな方はぜひ読んでみてください。絶対ハマります。
オルフェウスの窓
これ全然おすすめ出来ません。なぜなら5巻までしか無料じゃないからです。そして読み出したが最後、窓の結びつけた宿命の二人の愛の行方が気になりすぎて18巻までコインで購入してしまう羽目になるからです。 課金上等な方は、このドイツとロシアを舞台にした、革命と芸術と愛の不滅を描いた圧倒的な物語の奔流に身を任せてください。壮大なストーリーテリング、愚かさも高潔さも併せ持つ登場人物たち、その感情の激しさ、歴史の中で翻弄される運命。読み応えありすぎです。池田理代子先生の最高傑作だと個人的には思います。
曽祢まさこ短編集 海にしずんだ伝説 完全版
子供の頃なかよしで夢中になって読んだ曽祢まさこ先生のファンタジーやミステリーの中でも、この話が一番好きでした。 ロマンティックな海に沈んだ街の伝説や街を守る水門の鍵というアイテムも異国情緒たっぷりで、ヘレニズム風の衣装やアクセサリ、街の情景が昔の少女漫画の絵柄にマッチしててまたいいんですよね。 架空の伝説だと思っていましたが、フランスのブルターニュ地方に実際に伝えられているイサ伝説を元にしているとのちに知って驚きました。昔の少女マンガ家は本当に知識が豊富でした。
パロスの剣
さすが日本におけるファンタジーの第一人者の原作、作画はいがらし先生と、作品としての完成度はまずまず高いです。ただし好き嫌いは分かれそう。 栗本薫先生の小説『グイン・サーガ』という架空の王国の一代記の中の一つのエピソードなので(正確には小説の舞台より何世代も前の話)、世界観はしっかりしているものの、これからもっと壮大な話が始まるのかな、というところで終わってしまう感じです。 また中世をモデルにした架空ファンタジーにはありがちですが、現代の価値観からみると勝手すぎる登場人物たちに感情移入できない、過酷な宿命が当たり前なのが後味が悪い…など、優しい登場人物とハッピーでいい話に癒されたい人には全く不向きです。 それでも大丈夫で、ゲームオブスローンズなどが好きな人なら結構このファンタジーな世界を楽しめるのでは。万人には勧めないけど個人的には好きな作品です。
サトラレ
サトラレという設定でこんなに話を膨らませて読ませられるとは。まさにセンス・オブ・ワンダー。 昔の漫画ですが、当時の科学技術の知見も今から見ても先見の明がある感じで、古びてないのもすごい。しかも日常生活の描写も丁寧なので日常SF感もあり。 ただのサトラレという天才だけの話ではなく、その希少な天才を支えている周囲の普通の人々の地道で小さな努力を描いているのが個人的にとてもツボ。複数のサトラレやいろんな立場の人からの視点で一話完結になっているような構成なので、少しずつよみ進めるもよし、一気読みして壮大な世界観を感じるもよし。またその複眼的な視点が話に厚みを加えてます。 こんな名作があったのですね。今のような時代だからこそ、たくさんの人に読んでもらいたい作品です。
The かぼちゃワイン sequel
昔アニメを見ていた頃から可愛くてふわふわしてて心も体も大きなエルちゃんが大好きでした。でも今の時代に読み返してみると、恋人の春助にもやもやが残る人もいるのでは。自分はただの浪人なのに実家のお店は見下してるし、かといって何か目的があってそれに向かって努力をしてるわけでもなく、エルちゃんに甘えて感謝するわけでもなく……そんなダメ男のたまに見せるほんの少しの優しさ、感謝を言葉にできない不器用さを許容出来る人向です。男が威張っていればよかった時代のファンタジーとして割り切って読んで、エルちゃんという秀逸なキャラの可愛らしさを堪能する作品かな。 同時掲載のハワイの探偵ものは設定もお話も面白く読めました。
銀襴緞子
村の祭りにまつわる奇譚、昭和の下町の駄菓子屋の未亡人、女子校もの、大正ロマン…箪笥の奥にしまい込まれたびいどろやアンティークのレースを見つけたような気持ちになるとでも言ったら近いでしょうか。儚くも懐かしい短編4つに共通するのは、気高く美しい少女たち。レトロ感溢れる少女の世界にどっぷり浸りたい方には特にオススメです!
キュレーター
他の人も指摘しているように、ギャラリーフェイクや浦沢直樹の作品のような、ヨーロッパの美術と歴史が複雑に絡み合った謎解きに引き込まれます。地味ながらも骨太で、派手さはないけど練られた物語に唸らされる読み応えある佳作です。あ〜面白かった!
まっかな人間像
桐島いつみ先生の作品が無料で読めるなんて! 20年くらい前ぶ〜けで連載していた頃大好きでした。庶民感覚溢れる(褒めてます)すっとぼけたネタを独特のテンポで描くギャグ漫画。するっと読めるので軽いお笑いが欲しい時など特にオススメです。
将太の寿司2 World Stage
確かに前作と同じ感じを期待すると少し違和感を感じるかも。 究極のナンバーワンを決定する寿司バトルが主眼ではなく、海外で人気の変わり寿司も含めた多様な寿司のあり方を肯定しているのがいいですね。初代に比べて破天荒に見える二代目将太も、周囲を動かす情熱の大きさは同じでテーマはブレてない。個人的には、伝統と変化、文化の相違と共生、移民問題など今日的なテーマが寿司を素材にきちんと描かれていてとても好きです。ただ難を言えば主人公2人以外の二代目たちの物語ももうちょっと読みたかった!(だって初代たちのキャラクターもみんなとても魅力的だったでしょ。もちろん本作で初登場のキャラも素敵です!)
黄泉の歌が聴こえる
絵がすっきり美しくて読みやすいし、短い作品ながらひねりのある結末にやられ、次々読んでしまう短編集です。最後のお話は時に好きです。ミステリーが好きな方だけではなくいろんな方にぜひ読んで欲しい。
ガレージ・ママ
非現実的な設定ながらも一筋縄ではいかないストーリーに惹きこまれて読むのをやめられません。とはいえ基本的に一話完結のほのぼの家族ものなので、ハートウォーミングな軽くて短い話を少しずつ読みたい派にもおすすめ。 なんでも出来ちゃうスーパーママのお話ですが、手作りや丁寧な暮らしには興味ない人でも楽しく読むことが出来るのは、そこまでスーパーには出来ないお母さんの事も決して否定していないから。この絶妙さ、さすが草野誼先生です。 他のレビューでも言われてますが、打ち切り?のような終わり方だけがとても残念です。借金含めすべての決着が着くまでが描かれていたらかんかん橋と張る傑作になったのでは。とはいえ一話完結なので途中まででも楽しく読めます。 それはそれとして竜三、いろいろ間違えてるぞ…(お前の仕事を思い出せ)でもそこがいい。
桃子について
叙情的で繊細な、決して派手な事件はないけれど、主人公たちの微細な心の動きが伝わってきて染み入るようなお話と、それにマッチした優しいタッチの絵柄。しかも百町くんカッコイイ。少女の頃に読んだりぼんの漫画のときめきを思い出します。登場人物たちの年齢はちょっとだけ大人になってますが、往年の田渕由美子ファンを決して失望させません!
怖くて残酷なアンデルセン童話
外国の絵本のようなデフォルメの効いた人物、わざとパースを歪ませた背景が、不気味さを醸し出しながらもどこか美しい。よく言えば芸術的な絵なのですが、確かに日本の漫画的な絵のうまさを求める向きにはとっつきにくい絵かもしれません。 エログロ表現も(この作者の過去の作品に比べて)あっさり目というか、寓話的で象徴的で、ストレートな怖さではないかも。 人を選ぶとは思いますが、好きな人はすごくハマる雰囲気のある作品です。ヨーロッパの不気味でシュールな絵画や絵本が趣味な方は是非ご一読を。 ただ残酷グリム童話的な世界観を期待するとがっかりしちゃうかも。
リメイク
テンポよく一気に読んじゃいました! 主人公が挫折を繰り返しながらも、周囲に支えられて成長していく姿は気持ちがいいです。女だらけの職場なのに、いわゆる女性のドロドロ感がなくてさっぱりしてるのも好み。綺麗で頼れるこんなBAさんばかりのコスメ売り場があったら通いたい。 欲をいえばチーフの嶋田さんの謎めいた過去ももうちょっと知りたかったかな?藤野さんが私生活でも幸せになりますように…。
タイム・デイト
まつざきあけみ先生の美麗な絵に本当にうっとり。 初期の線の単純な作品から緻密な書き込みの超絶技巧時代まで、50年近いまつざき先生の漫画家歴の中からバラバラな時代の作品を集めた短編集なので、絵柄もお話も振れ幅が激しくて確かに読みにくいかもしれません。2話目の『青い海賊船』だけでも読んでみてください。キラキラした昔の少女漫画絵が好きな方ならうっとりすること間違いなし。
ミルキーレディー
高橋千鶴先生の作品、本当に久しぶりに読みました。ロスアンジェルスを舞台にしたアメリカのティーンたちのお話が楽しく、ヒロインも可愛く魅力的、相手の男の子もクールで素敵!ライバルも憎めないし登場人物は皆愛すべき人たちで往年のラブコメの王道です。 不幸な事件が起こるわけではないのにお話にメリハリがあるので、とにかく明るくハッピーかつ楽しい気持ちになりたいなら是非どうぞ! 同時収録の日本を舞台にした話は、ヒロインの恋敵のマドンナが素晴らしく人間の出来た女性なのに、後味が悪い話にならないのがすごい!さすが高橋先生です。
チョコの歌
傷つくのが怖くていつも自分から他人や物事から逃げてしまう自意識が強くてメンタルが弱い主人公が、芸能界に入って優しい人たちに囲まれながら成長していく過程が丁寧に描かれています。幼馴染のBFは自然体でおおらかで魅力的、その他個性豊かで憎めない登場人物ばかりで、脱力系のふんわりしたお話は読んでて心地よい。難をいえば、絵、話ともに少し適当に流しすぎるところはあるけれど、のんびりと主人公たちのゆっくりした成長に付き合ってみてください。特に第1話目の小学校での主人公とBFの出会いのお話はじんわりと沁みます。
狂い鳴くのは僕の番
オメガバースという設定はどうも…対等な恋愛をみたいからBLが好きなのに男同士の中で属性による階層があるなんて…などという食わず嫌いをしていたのですが、この作品で認識がまるで変わりました!オメガバースがちょっと苦手…という方こそ、騙されたと思って読んでみてください。
珠姫草紙
代理母という言葉もまだない時代の古い作品ですが、センセーショナルな冒頭からは意外なほど、純愛と命の大切さが美しく描かれる佳作です。モチーフの受胎告知を描いた場面など、絵も綺麗。テーマは重いですがあまり生々しい描写がなくさらっと読めます。同じ作者の『魔法のノアール』に、続編の『幾千万のマリア』が収録されていますので、その後が気になった方にはそちらもおすすめ。
草野誼傑作集 愛よりも深く
単純にスカッとしたり笑えたり幸せな読後感を楽しみたい、という時向けではないけれど、文学作品のような重みや深い余韻を味わいたい、という時には絶対に読んでほしい珠玉の短編集です。 愛というほど美しくなく、打算というには理不尽過ぎ、業というほど救いがなくもない、人の心のどうにもならなさの描き方に、必死に生きてる登場人物への優しさを感じられるので、単純なハッピーエンドじゃなくても後味もさほど悪くありません。話の面白さは折り紙付きです。
赤と黒のカノン
才能も美貌も持ち合わせ、女優として真面目に努力も怠らず地位を手に入れる主人公が、出来過ぎの上少し独善的に感じてしまい、あまり感情移入できません。次々問題が起こるのも主人公のせいではなく常に周囲の人々の身勝手さが原因、というような描き方も時々鼻につきます。けれど一度読み始めると、次々起こる事件に、どうなってしまうのかハラハラして途中で止められません。さすがベテラン作家。ヒロインが好きなタイプではなくても気にならない、昼ドラ的ドロドロ展開が大好きな方におすすめ!
ハートの厚さ
結婚にまつわる短編集。読みやすくて、笑えて、ほろっとします。へのへのもへじの婚約者がだんだんかっこよく見えてくる不思議(笑)。
魔の顔-デビルフェイス-
絵が綺麗なだけでなく、短編のお話どれもとっても面白い。人間の心の奥底を覗くようなテーマは共通していますが、ゾッとする話からコミカルなミステリーと作風もバラエティに飛んでいて飽きません。一話ずつちょっと時間がある時に読み進めるのもオススメです。
イエローブリックロード
血の繋がらない他人同士なのに、人生のいちばん長い時間を共有するのが夫婦。人生いい時ばかりじゃないけど、ともに困難を乗り越えていく夫婦の姿を、優しく楽しく描いていて読後感がすごくいいです。読み切り短編3編なのも、手頃な長さで読みやすい。
WONDER!
ワンダーとその飼い主である日南一家とその周囲の人々のほのぼの日常漫画、と思いきや、育児、介護、発達障害の子供など、本当にいろんな問題が日常目線で描かれます。かといってそこはそれファンタジーなので重すぎることなく、テンポよく進むストーリーの面白さに一気に読めてしまいます。 登場人物はそれぞれいろんな問題を抱えていて、少ししか出てこないキャラにも深いバックグラウンドがあり、誰のことも憎めません。主人公一家とあまりそりの合わない相手も、結構いいところがあることなどもさらりと描写があったりして、きっと好きなキャラが見つかるはず。 主人公一家の周囲の小さなコミュニティの話なのに、こんなにいろんな人々が、誰一人排除されることなしに受け入れられていて、多様性ってこういうことなんだな、と笑って読んでいるうちにすとんと納得できる、そんな作品です。 自分の好きなキャラはキャバ嬢と保育士の二足の草鞋を履く夜の街育ちのクールキャラ山代さんと、改心したかと思いきや最後まで割といい性格してた湯布院くんです。こういう、いい人過ぎず適度に人間臭い登場人物が受け入れられているので、説教臭さが気にならないんですよね。
紅のメリーポピンズ
設定だけ読んで、他のベテラン漫画家さんの別の作品と似ている?と思われる漫画ファンの皆さんもいるかもしれません。でもそこはさすが高口先生、また全然違った切り口で楽しめます。一話完結として読んでも楽しめ、最終話に向かって今までの伏線が回収されていく長編漫画としても楽しめ、つい一気読みしてしまいました。育児ものとして悩めるお母さんたちの問題を身近に感じつつ、ハイソなセレブの世界も出てきてそこもまた楽しいです。
GO NEXT!―グッバイ不毛LOVE―
男を取っ替え引っ替えのタキヨと、奥手なマチ。正反対な性格の二人の恋と友情の物語ですが、等身大の二人の一途な思いの描き方が丁寧で、どっちも幸せになって欲しいと思わずにはいられないです。二十歳そこそこの若い時の恋の苦しさ、切なさにどっぷり浸りたい方にはぜひお勧めしたい佳作です。
リセットシリーズ
人生をリセットできるリセットボタン(ただし2回まで)という設定がまずすごくいい! 設定が同じなのはそこだけの一話完結のオムニバスなんですけど、どの話もとても面白いです。 登場人物たちがどんな選択をするかがワンパターンではなく、今度はそうきたか!と驚きもあり、くらい結末、ハッピーエンド、とオチも多様。 読後感も悪くないので誰もが楽しめるし、一話完結なのも読みやすくていいです。個人的には星7つくらいつけたい。
嫁VS姑バトル!! 姦しい三世代姑
嫁姑ものってどろどろしがちだけど、この短編集は誰もが陥りやすい人間関係の罠を描きながら、最後には登場人物たちが自分の間違いに気がついてハッピーエンドで終わるので読後感が良いです。
きらめきグリーン・エイジ
80年代の少女漫画〜という感じです。 チアリーダー、アメフトと当時のアメリカへの憧れをいっぱいに詰め込んだ感が嫌いじゃありません。 素敵な初恋の先輩、アメリカ人の王子様、硬派なケンカ相手のあいつ、と主人公を取り巻くボーイズも豊富、お約束の美人ライバルも卑怯でなかなかやきもきさせてくれます。 絵も綺麗で読みやすいので時には緩い少女漫画を楽しみたい向きには是非。
地上の一点~耕野裕子自選作品集~
この漫画家さん昔からすごく好きでした。 登場人物たちは、ちょっと世間からはみ出してたり自意識が強かったり、生きづらさを抱えているキャラが多いのですが、それがちっとも嫌味じゃないし、共感が持てる。 周囲や現実と折り合いをつけようと奮闘する姿と、ちょっとほろ苦くも暖かい結末が、独特の読後感に浸れる短編集です。 少しだけヒリヒリ痛くて、でも希望のある漫画を読みたい方にはおすすめ!
あおぞら同盟
あまりにも時代が今と違う作品なので、主人公たちに共感したり恋する気持ちに同調してドキドキしたりとか、そういうのは正直ないです。 でも怒涛の展開、次々と立ちはだかる苦難、それを乗り越えようともがく二人の愛の行方が気になってつい読みふけってしまいます。 昭和の波乱万丈に浸りたい方にはオススメです。
曽祢まさこホラー・ワールド
曽祢まさこ先生のホラー短編は、基本的にどの時代の作品も絵柄が安定しているし、きっちりオチがついて起承転結がしっかりあるのでいつでも安心して読めるのですが、その中でも特に粒ぞろい。 ホラーとしての怖さだけではなく、誰の心にもある人間の恐ろしさみたいなものも描いているので、特別ホラーファンではない自分にも面白く読めます。 1巻の表題作がすごく好きです。怖さだけでなく、悲哀がありました。
悲しみは歌わない
激しい。 本当に高校生か?とか、学校はどうしたんだ?とかそーいう細かい事を気にするのはヤメ! 癒し系や草食系の男子達との日常の繊細な心の触れ合いが主流な最近の少女漫画に飽き飽きしている方は、是非このリアリティの欠片もない昭和の激しい愛の世界を堪能してください。
ケッコー ケンコウ家族
最初は健康情報を時々挟みながら展開するよくあるタイプの蘊蓄ものかな?と思って読んでましたが(その部分もコミカルでテンポよく面白いのですが)、3巻くらいから話が転がりだして良い意味で予想を裏切られっぱなし、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。 最初で思いっきり引いた方も騙されたと思ってとりあえず読んでみて欲しい!
リリアーナの黒髪
絵柄にクセがある作家さんですが、物語の起承転結がはっきりしていて読みやすいです。 短編が5編入ってますが、どの話も短いながらも人の生き方を考えさせるような、良質の短編小説を読んだような読後感があります。 漫画に華やかな夢の世界やイケメンを求める方向きではないですが、ちょっと硬めの物語が好きな方は是非。
西から来た男
お香を使ったアロマセラピストと、人外の者たちの軽いタッチのコメディです。設定は変わっていますが、難しかったりマニアックになりすぎることもなく、読みやすいです。 主人公以外の周囲のキャラクターも、クセは強いけれども憎めない感じで(他の作家さんの名前出して申し訳ありませんが)桑田乃梨子さんなどが好きな方にはハマるんじゃないかな? 私はこのノリ大好きです。
ストロベリー・シャンパン
苦く切ないお話ですが、それでも人間の強さや優しさを強く感じる作品です。絶対にハッピーエンドじゃなきゃいや、という方にはオススメしませんが、読んでいて心にしみる、とてもいいお話と思います。
愛ってなぁに?
くりた陸先生のお話は、絵も話も可愛くて、登場人物も皆個性的で好感が持てて、読後感が爽やかなのが特徴なんですが、その中にさりげなく重いテーマを突っ込んできたりするんですよね。 このお話も、暗くなりすぎることもなく、かといってただそういうキャラクターを出しただけで終わることもなく、真面目にまっすぐセクシャルマイノリティを描いています。 少女漫画だけにあまり辛い部分は描かれず、物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、暖かな世界に浸りたい人にはオススメです。同時収録のお話も良いです。
チャイニーズ台風
チャイナ服を着たカンフー娘が巻き起すしっちゃかめっちゃかなコメディです。 絵は少女漫画らしく整ってるけど、お話はうる星やつらなどのスラップスティック系少年漫画っぽい。 キャラクターも魅力的です、主人公以外の幸せな姿も見たかったな。昭和のドタバタコメディを楽しんで!
TOKYOジャングル・ガール
あのあやめがついに大人に!べにすずめシリーズをリアルタイムで読んでいた方々にぜひ読んでもらいたい。 時はバブル、女子高生ブームでわがままいっぱいに生きていた主人公あやめは、大学生になっても全く変わっていません。自分のことばかり、他人のことは目に入らない、読んでいて主人公にムカつくこと請け合い(笑)。 でも少し我慢して読んでみてください。彼女のパワフルさ、自己主張の強さは、居心地のいいバブルの日本で男にチヤホヤされる場所ではなく、逆境の中でこそ発揮される武器になることがわかります。 元気が出ますよ!
ナース・ステーション
いったん読み始めると止まらない、お話もしっかりしているし読みやすくそれぞれのキャラクターも個性豊か。病棟もので人の死も描かれ、泣かせますが、恋愛や人間関係にも比重が置かれているので、暗くなりすぎないのも良いです。 前半の群像劇は、主人公の周囲の看護師たちが、未熟で欠点がありつつそれを克服していくそれぞれの成長の物語。爽やかです。 後半は主人公に大きな試練が繰り返し訪れます。中でもどうしても相容れない新人看護師との対決は、じっくり描いたな〜と圧巻です。親との関係の歪さから、対人関係がうまく結べず、周囲からは理解できないモンスター行動をとる花咲。自己中心的で他者の痛みを考えず、被害者意識ばかり強いキャラは、今では結構身に覚えのあるタイプですが、この漫画が描かれた当時は理解されにくかったのでは。それだけに結末に甘さが残る気もしますが、花咲が少しずつ変化する様を丁寧に、後半の殆どをかけて描いた気迫はすごいです。コミュ障害や親との問題を抱えた人であれば、身に覚えがありすぎてキツいかもしれません。ただ主人公圭子の恋愛も並行して描かれるのでキツいばかりではないです。 読み応えだけはものすごくあります。数日かけてじっくり読むのがオススメです!
食と薔薇の日々
とにかく元気いっぱい前向きな主人公、脇を固める登場人物の魅力的なこと、食事のそれはそれは美味しそうなこと!そして、色恋だけじゃない人間関係、ちょっと入り組んでドタバタしてるので、不真面目に見えるかもしれないけど、みんなそれぞれ一強懸命生きている。 最後は、誰と誰がくっついても、とにかくみんなが幸せになればいいと思って読める、そんな稀有な作品です。 人生は恋愛だけじゃない、食べるだけでもない。夢がある、生きるパワーがある、それが重要なんだな、と、最後は(ギャグ漫画なのに)少しホロっとすらしました。 笑って、楽しんで、ちょっとだけしんみりしたい、食いしん坊な方にぴったりな漫画です。 それにしても松苗先生の描くお花とお菓子は可愛らしく、キュートでゴージャス!
ロリアンの青い空
気高く美しい貴族の娘クロディーヌ、気弱だけど一途なエレナ、村で一番の優等生のルイ、情熱的な流れ者ロジェ、都会で愛と宿命に翻弄される性格も境遇も対照的な登場人物たちを描いた作品です。彼らの心の支えはともに幸せな幼少期を過ごした北フランスの架空の村、ロリアンの田園風景。 彼らの宿命がそれぞれどんな結末を迎えるのかは読んでもらうとして、傷つけあったり道を誤ったりしながらも、お互いに思いやり合い、愛を信じる登場人物たちのひたむきさにジーンとします。 幼い頃に読んだ時にはやはり物語の主軸であるロジェとクロディーヌの愛の行方が気になりましたが、今読み直すと、クロディーヌとエレナの友情や、ロジェたちの幸せを考えるルイの思慮の深さにも気がつきます。 友情、思いやり、生活やお金、そして幸せな子供時代と、何より大切な運命の相手との愛の絆、こんな要素いっぱいの人間ドラマがフランスの田園風景の中で展開されてたった1巻の漫画にまとまるとは、昔の少女漫画は濃かった…読み応えありです。
結婚よそうよ
おそらく今の時代からすると登場人物たちの破天荒すぎる人生の選択は共感しづらいと思います。バブル崩壊直後で、男女雇用機会均等法も始まったばかりの90年代、欲望丸出しに生きる登場人物たちのハイテンションでなんでもありな人生賛歌はとてもとても勇気付けられたのです。深く考えずに、現実とは別物だと割り切り、華やかな絵柄と享楽的なこのグルーヴに乗るのが吉。
白夜のナイチンゲール
キャンディ・キャンディと同じ原作者(別ペンネームですが)による古い少女漫画です。外国を舞台にした儚げな少女と領主の兄弟の恋物語、昔の少女漫画なので叙情的過ぎ、絵に癖がある点など、慣れない人には読みにくいかもしれませんが、森と湖と白夜の国の雰囲気がよく描けていて、古い外国映画を見ているような気持ちになります。浸れます。
恋する魂 俺たちに明日はある!
同じ漫画家さんの『恋する魂』(無料会員で読み放題です)の続編なので、そちらを先に読まないと話がわかりにくいです。下町妖怪ラブコメディ。続編も相変わらずのテンションで楽しいですが女にモテ無い呪いは解けないほうが面白かったかも…同時収録作品も面白いです。
恋する魂
もともとお話作りも上手いし絵も綺麗な漫画家さんなので安心して読めます。下町妖怪ドタバタラブコメディ。ただちょっとガチャガチャしてるかな?その分読み応えもありますが。脇キャラも魅力的。特に吾郎ちゃんは最高ですね。
素顔のままで
派手な話では無いけど、しみじみします。 この漫画家さんは街を描くのが上手い。この表題作は鎌倉、同時収録作品は浅草の話です。どちらも昭和レトロな気分に浸れます。
歩足島へ行こう
この作者の昔の少女漫画が好きで。BLも描かれてるのは驚きましたが、平凡だけど誰もが体験する青春の逡巡、成長、心の機微など、コミカルな部分も含めて読みやすく、面白さはちっとも変わってません!昔の作品のファンの方も是非読んでほしい。
希林館通り
何十年も前の少女漫画なので今読むと古臭い部分や納得できない部分もあります。けれど平凡で夢見がちな女の子が結婚という現実に踏み出すまでの物語が胸を打ちます。エピソードも絵もしっかりしていて、作品としての完成度も高いと思います。多彩な脇役たちも味があって笑いもあります。
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