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『よいこの黙示録』のレビュー

主人公はニート上がりの新米女教師・湯島。 ドジで頼りなくいかにクラスを上手く運営していくかに重点を置いた言動をするが空回りしがちな彼女は、教え子・伊勢崎大介との出会いによって彼のとある野望に加担することに。 「センセイ オレはね 自前の神が欲しいんですよ」 彼が教祖として狙いをつけたのは無口で独特な存在感もつ森。 伊勢崎の綿密な計画と心理操作の元、クラスで孤立していた森は教祖としての第一歩を踏み出すが…… 新興宗教が出来るまでの過程をとある小学校の一クラスをスタディケースに置き換え追っていく実験的試みが憎い。 なんといっても腹黒ショタ伊勢崎の存在感に注目。 森に教祖としてのカリスマ性を付与する為虎視眈々と策略を練り、担任までも脅して演出を行い、人を思惑通り動かす為なら狂言すらも辞さない確信犯。 すごい怖い腹黒いと三拍子そろってます。おまけに美少年。 彼が自前の神を欲する理由は一巻ではまだ明らかになりませんが、その頭の回転力と行動力をもってしてゆっくりと着実に目的へと近付いていく姿には戦慄を禁じ得ない。 教祖の凄さを引き立てる脇役に徹しながら実は彼こそ全ての計画の中心、欠く事できないブレインであるという設定が味噌。 今後彼等がどうやって信者を増やしていくかに期待が高まる。 クラス内の微妙な力の均衡や人間関係も面白い。 リーダー的生徒、それにおもねる生徒、孤立気味の生徒……その中でも特に新興宗教に否定的な生徒たちをどうやって「落としていく」のか、手強い敵を攻略していくゲームのような楽しみがある。 伊勢崎の行動に振り回されがちな湯島にしても、保身からではなく純粋な良心から疎外される生徒を心配したりと根は善人に描かれているので、てんてこ舞いぶりを微笑ましく見守っていられる。
2020年5月6日
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