『木村はなぜ力道山を殺さなかったのか』それは悲しくも、悔しくも、妻の病気に大金のかかる薬が必要だったのかにしても、商売に失敗して借金を抱えていたにしても。いかなる理由があったにせよ、『侍』であるべきだった本人が八百長を引き受けたからなのよ。
晩年の木村は八百長のことをNHKで話していたわ。それはもはや、やせ細りどこかに病をもっていると思えた姿で。公の場でこれを認めたのはこれが初めてだったでしょう。空手の大山などには本当のことを話していたとしてもね。力道山との試合後、彼が脇差風の刀をもって力道山を狙っていたなどと、ある本には書いてあったけど、それこそ裸一貫で日本一になった彼には失礼じゃない。この本もあちらこちらに『だろう』『と思われる』が隠れている。今は木村大先生の功績を称し、冥福を祈るべしではないかしら?